研究課題/領域番号 |
24501046
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
長谷川 敦司 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (60359065)
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研究分担者 |
谷 友和 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 講師 (60547040)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 導管液の流速 / CST |
研究概要 |
24年度は、教材としての妥当性を確認するために、草本類の道管液の流速の計測法の開発に重点を置いた。測定条件としては、植物は光の当たる場所に置き、計測系は高感度の光電子増倍管を用いるため遮光性の高い空間で行う必要がある。植物中を移動する肥料からの発光は微弱であるため、空間的に植物と分光系は離せない。この相反する条件を満たす光学系の製作を行った。分光系を光学的なバンドパスフィルターで隔離し、外部からの光の入射を極力抑えた測定系を構築した。この測定を用いて励起した2か所からの発光の計測を行ったところ、頻度は高くないがデーターの取得が可能となった。計測結果としては、条件や植物種にもよるが、約1×10^-4(m/s)程度の流速であり、植物からの水の蒸散などから推定される値とも矛盾しない結果となっている。また、上越地域では、冬場には草本類が入手できなくなるため、実験室内部での植物の栽培を試みて、測定を行ったが、こちらについてはあまり良い結果は得られなかった。 CSTへの教育プログラムについては、検討中である。24年度は、上越教育大のCST受講者に対して2回の模擬授業を行い、受講生の状況の把握を行った。授業テーマは、光の放射等に関する逆2乗則についての実験と講義を行ったものである。模擬授業については、2012年12月に新潟大学で行われた日本理科教育学会北陸支部大会において、「力および放射における逆2乗則を学習する教材の開発」という題目で口頭発表を行った。この結果などを参考に現在、教育プログラムの原案を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、24年度に導管液の流速計測のための装置開発と計測を行う予定であった。計測系の開発には成功し、計測にも成功しているため、概ね達成していると考えられる。しかしながら、流速計測に必要な上下2か所からの発光について、両方で計測できる確率がまだ高くないため100%の達成とは言えない。 計測の確率を向上させることにより、教材としても使用できる可能性が高くなるため、今後は計測確立を向上させる必要はあるが、概ね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
植物の計測に関しては、研究計画に記載した通り、計測系の小型化を図る。可能であれば可搬型まで小型化を試みたい。可搬型にできた場合、測定条件が広くなることが予想され、より自然に近い状態での導管液の流速測定が可能となる。 装置の改良であるが、光源は小型の物が入手できるため、分光系の小型化が必要である。現在の光学系を参考にして、集光系の部品数を減らし、極力狭いスペースの中で組み上げることを目指す。この分光系の構築により、計測系の機能性が高まるため、教育用教材としても使用できるようになると考えられる。 教育プログラムについては、研究者の思考過程を整理し、教育方法の検討を行う。自らの思考過程を整理するだけではなく、旧知の研究者にもアンケート等を行い、課題解決のための思考の分析を行う。分析した結果を元に、理科教育の専門家の協力の元、教育プログラム化していく予定である。25年度中には、このプログラムを使ってCST受講者に対しての模擬授業を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
植物計測系を小型軽量化するために、光源、光学部品、遮光用部品等に主に使用する。また、植物種による違いや周辺の条件による導管液の流速の変化などの測定も行う予定であり、植物育成関連の物品の購入にも充てる予定である。 旅費等は、成果発表、情報交換のために国内の学会に出席することに主に使用する予定である。
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