研究課題/領域番号 |
24501046
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
長谷川 敦司 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (60359065)
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研究分担者 |
谷 友和 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 講師 (60547040)
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キーワード | 導管液流速 / 分光的手法 / CST / 論理的思考 |
研究概要 |
草本類植物の導管液の流速を測定するための実験装置は24年度作製に成功し、25年度は流速測定を行った。信号は取得できているが、導管液の流速に関連しているものかどうかを確認している。植物は夏場では成長に伴い、水の吸い上げが盛んとなるため、信号強度が大きくなると思われる。流速の季節依存性なども見られるようであるが、データー数がまだ不十分なこともあり、さらならデーターの積み上げが必要と考えている。 模擬授業に向けて、研究計画にある計測装置の小型化を行った。24年度に作製した光学系よりも容積的に1/5程度まで小型化できた。集光系を簡素化し、光源も小型のものを用いて、ブレッドボード上に組み上げた。このブレッドボード上の光学系は、ラボジャッキを使用することで、全体の高さを調整できるようになっている。さらに、屋外での測定も可能とするように、光学系と計測装置系とは切り離しが可能としてある。作製した小型計測系での導管液の流速測定を行ったが、完成した時期が冬場に入ってしまったため、植物からの信号が弱くなり、確実なデーターは取得できていないが、導管液の流速を反映しているのではないかと思われる信号は数回取得している。 CST育成プログラム受講者に対しての研究授業を上越教育大において年度内に2回行った。別予算により作製した教材を使用し、授業を行ったが、これにより現職教員の理解力などの感触をつかむことができた。また、論理的思考プロセスを整理するために、理工学系の研究者、技術者などから、研究遂行時における思考過程の情報を集めた。この情報を分析して、教育プログラムの作成に生かしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
装置開発に関しては、計画通り順調に進んでいる。24年度に試作用として作製した大型の光学系を参考にし、可搬型の小型計測系の作製に成功している。また、導管液流速についての計測は、試作光学系においては、データ-の取得に成功しているが、流速を反映しているかどうかは、今のところ確証が得られていない状況である。これを確認する必要がある。 論理的思考については、研究者からの情報を整理し、思考過程については大凡の流れが判明しつつある。また、教育関係の研究者などとの議論により、文章としての記述が重要であることを認識したので、具体的な教育法への展開を模索している。 以上から、おおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は、信号が導管液からのものであることを確認し、教材として使用できることを確認する。このためには、夏までに多数のデーターを取得し、統計的に処理を行う必要がある。具体的には、発光信号のスペクトル分解を行い、肥料の発光スペクトルと比較することや、信号の肥料濃度依存性を測定するなどを行う予定である。小型化した光学系に関しては、肥料からの発光信号であることを確認した後、大型の測定系と並行して測定を行いたい。さらに移動して使用できることを確認し、授業用教材として使用できるようにしたい。 論理的思考については、昨年度までの情報を元に、文章の記述トレーニングなども含めて具体的な教育手法を考案し、CSTプログラム受講者向けに研究授業などを行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度からの繰り越し金に加え、25年度の人件費を未使用であったために次年度使用額が生じた。25年度の人件費は実験補助、授業のアシスタント代などのために予算申請をしたが、共に必要がなくなったため、未使用となった。 26年度に大学を異動したため、異動先での研究の再開のための費用と研究授業の旅費の一部として使用する予定である。
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