当初の計画としては、平成25年度に構築した実験システムと教育プログラムを実行するということになっていた。研究代表者の所属が変わったこともあったが、予定通り上越教育大学において、CST育成プログラム受講者および、同大学の大学院生に対して模擬授業を行った。昨年度までに、研究者、技術者にアンケートを行った結果を解析し、論理的思考過程の整理を行っていた。この過程を順序立ててたどりながら受講生が、疑似研究体験を行える授業の構成を作成した。授業は3日間に渡って実施した。初日には、事前のアンケート、研究遂行に必要な知識を与えるための授業を行った。2日目は、研究課題として設定した植物の道管液の流速測定に必要な情報を、受講生がネットワーク等を使用して、調査する日とした。3日目は、研究(実験)手法の検討をワークショップ形式で議論して決定し、実際にその手法で実験を行った。実験は本研究で作成したプロトタイプの計測系を用いた。実験終了後に結果を見ながら、データーの読み方、考察などを行い、結果の解析過程を体験した。この過程は、問題発見力の養成にもつながると考えている。最終的には、事後アンケートを取り、事前のものと比較を行った。 この結果をみると、事前と事後の受講生の考え方に変化が見られ、本授業はある程度効果があったと考えられる。詳細については、現在、理科教育学会誌に投稿を予定している論文に記載する。 植物の実験についても進展があった。授業に使用できるように開発した小型の測定系について、初期の実験データーが取得されたため、今後、この装置が現場で使えるように改良を行う。道管液の流速については、発光スペクトルの結果などをみると、色素による発光である可能性が高くなってきているが、信号が流速と対応しているかについては、現在確認中である。実験結果は順次、分担研究者である谷講師のホームページに掲載していく。
|