研究課題/領域番号 |
24501051
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
大竹 博巳 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (70168970)
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研究分担者 |
河野 芳文 高知工科大学, 工学部, 教授 (00441527)
山田 篤史 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20273823)
長谷川 貴之 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (70553197)
花木 良 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (70549162)
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キーワード | 科学教育 / 高大接続教育 / 高大連携教育 / 数学教材開発 / 数学教育 |
研究概要 |
1. 本研究は、高等学校の文理を問わない普通教育において、目的論として意識されにくい数学及び数学学習の文化的価値を学習者が認識し味わうことができ、しかも内容的に高等学校の数学の学習指導要領では扱われにくいが大学数学のトピックには繋がるような、高大連携的な数学教材を開発し、そうした教材を使って授業等を行い、それらの評価・修正を行うとともに、教材等の成果物を、電子媒体等を通じても利用可能な状態にし、教育現場に還元することを目的とするものである。 2. 研究2年目である平成25年度は、前年度までの研究に加えて、新たな教具や教材案の作成とその教育実践を行った。これらの例として高校2年生を対象にフィボナッチ数列を多角的に考察する授業実践「フィボナッチ数列と...」、高校1年生を対象にした「ユークリッド幾何の作図と折り紙の作図」、文化祭での取り組みとしての「確率的素数判定法」、SSH校での課題学習の実践「金平糖の角の形成について」がある。また、万華鏡の対称性を数学と結びつける教材である「キャットアイ万華鏡」、グラフ理論が背景にある教具、動画教材「吉田光由の墓」などを作成した。 3. また、日本伝統織物のデザイナーをゲストとして招き「日本伝統織物・現代織物に見られる文様の対称性の数学 ーテキスタイルデザインに見る文様の展開ー」として講演をしていただくなどし、数学と人間との関わりや数学の社会的有用性を強調する数学教材について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先の研究実績の概要に記したように、当初の研究目的に沿った数学教材の作成と授業実践を積み重ね、順調に成果を挙げている。また、教材化や授業案の作成の裏付けとなる数学理論の紹介や各参加者の教育研究経験に基づいた教材作成のための注意点についての意見交換を行い、今後の研究発展のための基盤が整った状況で研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度である今年度は、これまでの研究で蓄積した教材案を基にして、具体的な教材としての問題の系列や教師用指導案などの授業を実施できる教材を蓄積させること、そしてそうした教材を使った実験授業を行い、具体的な問題や指導案の改善、あるいはそうした教材全般の有効性を確認していく作業を進めてゆく予定である。さらに、これらの研究成果は、解説を加えて、教育現場で利用可能な状態の報告書としてまとめ上げることまでを行う計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究においては、大学教員(教科専門科目担当者と教科教育科目担当者)や高等専門学校教員、高等学校教諭、民間教育機関研究員などの多様な参加者が一同に会して、それぞれの教育研究環境や経験に基づく様々な観点からの意見交換や協議を行う研究会を開催することが重要であり、研究会開催のための旅費や謝金に研究費を優先的に使用する必要がある。高等学校教員がクラブ活動の指導等の本務のため、研究会に参加することができない状況が生じたことなどがあり、当初の計画より今年度の使用額が少なくなった。 繰り越した助成金は、本研究を進める上で参考となるような教育実践を行なっている高等学校教員などを研究会にゲストとして招き、実践成果を発表していただくなど本研究の幅を広げることや、本研究の成果を高等学校教員が集まる学会等で発表する際の旅費とするなど本研究の成果の広報に使用する計画である。
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