研究課題
本研究は、高等学校の文理を問わない普通教育において、目的論として意識されにくい数学及び数学学習の文化的価値を学習者が認識し味わうことができ、しかも内容的に高等学校の数学の学習指導要領では扱われることが少ないが大学数学のトピックには繋がるような、高大連携的な数学教材を開発し、そうした教材を使って授業等を行い、それらの評価・修正を行うとともに、教材等の成果物を電子媒体等を通じても利用可能な状態にして教育現場に還元することを目的とするものである。研究最終年度である平成26年度は、教材開発グループの幾何班が3回、代数・解析班が5回の会合を開き、これまでに開発した教材を用いた授業実践結果や新たな教材素案について議論した。加えて、評価検討グループも参加する全体会合を3回開き、各班が提出した教材案について、その文化的価値や想定される指導・学習方法などについて、大学教員、高等学校教員、高等専門学校教員、民間教育機関研究員などの幅広い立場にいる本研究構成員がそれぞれの教育経験に基づき討論し、改良を加えていった。こうした活動により今年度新たに得られた成果が、球面のタイリングを背景に持つ「手まりと球面万華鏡」、指数・対数を文化的価値から扱った「指数・対数の価値を伝える教材研究」、数学の社会的有用性について認識を深めさせる「文化的視点を意識したベクトルの導入」、グラフ理論の応用である「耐震強度の教材」とその教具の作成、整数論の現代情報社会への応用となる「Miller-Rabin素数判定法」、身近な対象を数学的に扱った「バスのステップのドアの曲線」、地域文化の教材化を目指した動画教材「塵劫記序」等である。また、昨年度までに作成した教材についても実践例を増やし、改良を行った。これらを含む本研究三年間の成果は研究成果報告書冊子にまとめた。インターネットを通じた公開も予定している。
本研究の研究成果をまとめた研究成果報告書(全196頁)を作成した。
すべて 2015 2014
すべて 学会発表 (10件) 図書 (1件)