研究課題/領域番号 |
24501053
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
村上 忠幸 京都教育大学, 教育学部, 教授 (20314297)
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研究分担者 |
中野 英之 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (80554310)
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キーワード | 探究学習 / 前仮説段階 / messing about / エンゲージメント / マルチプルインテリジェンス / チーム学習 / ポーフォリオ / コミュニケーション |
研究概要 |
(1) 「探究の真正性」を重視した探究プロセスの概念構築について、より実践的なものにすることができた。すなわち、「真正性」とは探究プロセスにおけるエンゲージメント(のめり込む状態)を誘起し、学習者が「楽しさ」を実感する様態として、探究プロセスの開発・実践を通じて分析、整理し、概念化した。このとき探究学習における「課題の解決」という従来からある意味に「成果の創造」という意味を加えた。また、前仮説段階における自由試行messing aboutおよび多重知能理論マルチプル・インテリジェンス(以下MI)に基づく活動モデルを提案した。さらに、日本的な探究学習の特質について、日本の教育の特徴と日本的な自然観との関わりから考察を試みた。 (2) 「探究の真正性」を実現するための質の高い教材・探究プロセスの開発を継続して行った。すなわち、開発した探究プロセスを「課題の解決」「成果の創造」の視点から意味付けを行うことが可能となり、探究の真正性の概念をより実践的・具体的に展開できる手がかりがつかめた。 (3) 開発した教材・プロセスの実践を継続し、国内外で有効性を検討した。すなわち、(1)、(2)に基づいて教員研修、教員養成の場で有効性の高い探究プロセスをMIによるチーム学習として実践し、調査した。 (4)探究学習における真正性を捉えるために授業の可視化、評価方略を検討した。すなわち、質的研究のアプローチにより、MI、学習者のポートフォリオ、アンケート(自由記述)、表情分析等を資料として新たな評価法の開発を試みて一定の成果を上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 探究プロセスの概念構築に向けて立ち上げた「探究学習を探求する研究会(タンタン研)は1,2ヶ月に1回程度の研究会を継続し、本研究の展開に有効な場となっている。 (2)「探究の真正性」を実現するための質の高い教材・探究プロセスの開発として、すでにある10件に加えて、「火おこし」【水琴窟」「フーとハー」をテーマにしたものを開発した。これらについて小、中、高、教員研修で約100回程度の実践を行い、その有効性について調査を継続中である。 (3) 開発した教材・プロセスの実践を継続し、国内外で有効性を検討した。児童・生徒に対する探究学習、教員研修、教員養成の場でMIによるチーム学習として探究プロセスを実践し、調査した。教員研修の参加者がMI及び探究プロセスを活用し有効性が広く認められ、普及しはじめた。オランダのイエナプラン教育研修では、学生、教員等に本研究を紹介し、実践につなげることができた。 (4)探究学習における真正性の評価のために授業の可視化、評価方略を検討した。質的研究のアプローチにより、MI、学習者のポートフォリオ、アンケート(自由記述)、表情分析、発言分析等を資料として、それぞれの探究学習の評価資料として意味について検討し、特に一人称的コミュニケーションの把握の重要性に関する知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
(1)「探究の真正性」を重視した探究プロセスの概念構築について、「真正性」のエンゲージメントと「楽しさ」について「課題の解決」「成果の創造」という視点から完成度の高いもにする。また、前仮説段階における自由試行messing aboutおよびMIに基づく活動モデルの普及へ向けた授業及び研修プログラムの策定を検討する。同時に、本研究に基づく学習法のモデルの提案を検討する。さらに、日本的な探究学習の特質について、ポスト近代という時代認識を絡めたアプローチを検討しているので、その考察を進める。 (2) 質の高い教材・探究プロセスの開発を継続しておこなう。また、開発の手法として自由研究によるアプローチを継続し、その有効性を検討し、「課題の解決」「成果の創造」の視点から意味付けを行う。 (3) 開発した教材・プロセスの実践を継続し、国内外で有効性を検討する。また、オランダではイエナプラン研修を継続して行い、本研究における成果の紹介と普及を図る。その知見を日本での教員養成、教員研修へ反映させる方略を検討する。 (4)探究学習における真正性を捉えるために授業の可視化、評価方略を具体化する。MI、ポートフォリオ、アンケート(自由記述)、表情分析等を併用して探究学習の真正性の評価法の開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
・「探究の真正性」を重視した探究プロセスの概念構築をするため、探究プロセスの開発のために実験機材、試薬等の消耗品費が必要である。また、本研究の普及を図るためのシンポジウム詔勅講師費用が必要である。 ・ 探究プロセスの実践にともなって質の高い教材・探究プロセスの開発を継続しておこなう。また、開発の手法として自由研究によるアプローチを継続し、その有効性を検討し、「課題の解決」「成果の創造」の視点から意味付けを行う。また、 開発した教材・プロセスの実践を継続し、国内外で有効性を検討する。また、オランダではイエナプラン研修を継続して行い、本研究における成果の紹介と普及を図る。その知見を日本での教員養成、教員研修へ反映させる方略を検討する。 ・教材・プロセス開発に係る材料及び試薬の費用を要する。 ・成果報告のシンポジウムにおける詔勅講師の謝金、教材・探究プロセスの有効性の検討に際して、データ整理に係る謝金およびオランダ・イエナプラン研修における研修補助に係る謝金を要する。
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