研究課題/領域番号 |
24501054
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
渥美 茂明 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (70144623)
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キーワード | 理科教材開発 / 雄性不稔 / 植物の生殖 |
研究概要 |
葯に花粉を持たず(雄性不稔)緑色の葉を持つカタバミが発芽する種を得るために,野生型の細胞質と2雄性不稔遺伝子を核に持つカタバミの系統(維持系統)を育出する必要がある.初年度には、野生型(回復系統)の花粉を雄性不稔株(以下不稔株)に交配し花粉稔性を回復させた個体の花粉を回復系統に戻し交雑して得た種子から75個体を育成し、不稔株を使った検定した結果、2雄性不稔遺伝子をヘテロ接合で持つ11個体を選抜した. 25年度には、これら11個体から任意の5個体の自殖種子225個を播種して得た217個体について不稔株を使った検定交雑を行い,約2800個体を育成し,2つの雄性不稔遺伝子をホモ接合で持つ個体を探索した.50個の自殖種子を検定した2系統ではホモ接合体を発見できなかった.75個の自殖種子を検定した1系統では48個の検定が終了し,1個のホモ接合体(すなわち維持系統)を発見した.この個体の自殖種子を播種すると,花粉稔性を示す個体が得られ,不稔株に交雑すると種子は発芽能を持ち,発芽個体は全て雄性不稔であった.検定交雑では,雄性不稔遺伝子をヘテロで持つ個体が5系統の全てで検出されたことから,5系統全てが確かに2雄性不稔遺伝子をヘテロで持つと推測された. 25年度は赤葉の3系統について,2雄性不稔遺伝子をヘテロで持つ個体の選抜を行い,2系統ではそれぞれ25個体から4と3のヘテロ接合体を見出した.残る1系統については75個体以上を検定したにもかかわらず1個も発見できなかった.2つの遺伝子をホモで持つ維持系統の作出のために,ヘテロ接合体を発見した2系統それぞれの自殖種子を播種し,不稔株を使った検定を開始した. 分光測色計を用いて測定した葉色はL*a*b*表色系ではb*値が老化とともに減じる傾向が見出され、葉が展開した直後に色評価することが必要であることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目標のうち,最重点課題である維持系統の作出が出来たことは大いに作業が進んだと言える.しかし,当初は自殖種子20ないし30に1つの維持系統を発見できると考えていたが,現在のところ48個に付き1個の維持系統を発見するに止まっていることは遅れであると言えると考えている(これほど運の悪い人間であるとは考えていなかった). 維持系統の純系化のために維持系統の栽培と自殖種子の採集に取りかかることができたこと,この維持系統を使って不稔株の種子を生産・採取し,不稔系統の育種に着手できた点は評価することができるが,2世代しか進まなかったのは若干の遅れと言わざるを得ない. 分光測色計を用いて葉の生長に伴う色の変化を評価し,葉色の評価を行う時期と方法に目処が付いた点も評価できると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
緑色系統の維持系統をさらに追加したいと考えている.そのために,すでに検定交雑が済み栽培の準備の整った系統を栽培し,不稔遺伝子のホモ接合体を継続して探すとともに,すでに行った検定を終わった個体の中で特に多数の不稔株を産出した(検定交雑種子の半数前後が不稔であった)株は1つの不稔遺伝子がホモ接合,残る1つがヘテロ接合になっていると期待されるので、このような株から得た自殖種子を栽培し、ホモ接合体を再度探索する準備を進めている.この種子集団からは効率よくホモ接合体が得られると期待している. 赤色の葉をもつ系統からの維持系統の作出にも力を入れたいと考え,現在,2系統の赤色系統を自殖種子の中からホモ接合体を探す検定を行っている. 栽培の準備と後片付けを補助するアルバイト要員を2ないし3名用意できるので,今まで以上に多くの栽培を行い,維持系統の探索と純系化に取り組む予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
期間末になるまで実験補助要員が1名しか得られなかったため,謝金を計画通りに支出できなかった.今年になって2名の補助員を追加できた. 今年度は年度当初より2名の補助員を新たに確保しているので,昨年来の1名と合わせて計画のように謝金の資質が出来ると考えている.
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