研究課題/領域番号 |
24501057
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
松本 一郎 島根大学, 教育学部, 准教授 (30335541)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 野外学習 / 小学校理科単元「流水のはたらき」 / 小学校理科単元「土地のつくりと変化」 / 中学校理科単元「変動する大地」 / 学習支援 / 岩石の簡易分析 / フィールド / 地学 |
研究概要 |
本研究は、小中学校への学習支援の一貫として、野外学習のプログラム開発を「青空寺子屋」と称し、理科の新しい学習スタイルの確立を目的として行った。具体的には、小中学校の理科単元のうち地学分野において、地域の河川や地層・岩石を学ぶ上での教材化を行った。 平成24年度は、これまでの教育実績をもとに、斐伊川を用いた河川での野外学習教材「青空寺子屋」を構築し、公立小学校に対して7回の野外学習主を実施することができた。その学習内容の内訳は、小学校では5年生理科単元「流れる水のはたらき」、で3回、6年理科単元「大地のつくり」で野外学習で4回行った。平成24年度は斐伊川(島根県東部)を教材化し実践した。また、江の川(島根県中部)、高津川(島根県西 部)、日野川(鳥取県西部)については実践授業は行っていないものの教材化のための調査を実施した。土地のつくりの学習では、平成24年度は、島根半島(島根県東部)、を教材化し授業実践することができた。なお、授業実践は行っていないものの三 瓶山(島根県中部)、隠岐地域(島根県隠岐)、大山(鳥取県西部)については事前調査を行った。中学校の変動する大地の単元では 、小学校との学習の連続性を考慮・意識して、小学校「土地のつくり」の単元と同地域・同地点で行うことを計画し、室内授業において学習を実施した。中学校の野外授業の実施については来年度の課題でもある。 なお、野外にて迅速・簡便に化学分析のできる携帯型の蛍光X線分析装置は、研究の中心的な教 材として位置づけるが、24年度では分析の精度や調整、野外での学習場面での活用の仕方など、その学習活用方策について整理することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、小学校や中学校の理科授業において、その実施が地域的、時間的、費用的、教師の力量的に比較的難しいとされる野外学習に対する学習支援を目的に多数の学校と関わることが重要であり、本年度は初年度としてそれを実践実行する事ができた。平成24年度は7回におよぶ野外学習を実施することができ、当初予定の地域の河川や地層・岩石を学ぶ上での教材化を行う事ができるとともに実践授業を行う事ができた。地域的に、当初目標の地域への関わりが、やや遅れている地域(島根県の西部地域や隠岐地域)もあるが、プログラムの開発的にはその内容面、教材の質的な部分(完成度)において、目標よりも進んで実行できている。以上のような進行を勘案して、おおむね順調であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降は、初年度に実践授業を行った学校に対して初年度と同単元・同内容で継続して野外学習を行うことをめざし、プログラム・教材の完成度を向上させる。 その事により、新たな学校への情報提供を行うとともに学習連携する新たな学校先の確保を目指す。なお、学習支援を行う学校のうち新たな学校を小学校2校、中学校1校程度増やし、 プログラムの検証と学習支援のネットワークを拡大させるための方策を構築する。具体的には教員同士の勉強会や研究会(青空寺子屋研究会)を立ち上げる。つまり、学習支援を行った学校の実践報告を通して野外学習の方法、効果、問題点など を報告、議論できる場を提供するとともに現場教員の声をプログラムに反映させる。また、それらの活動により、地域の小中学校周辺の河川、地層、岩石についての化学的な多様性をもとに、単元の中での野外学習の効果や意義を位置づけるとともに、本プログラムの検証を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画のとおり順調な使用を計画している。具体的には、物品費として主に野外で学習する際の教具・教材など、野外学習の調査や学習支援の旅費、また、成果発表(学会発表)のための旅費、大学院生への授業補助員としての謝金、実験や観察の際の消耗品費として計画している。なお、平成24年度、85円の未使用額が生じたが、消耗品の一部が見積もっていた額よりも安くあがったために生じたものであり、年度末に重なったとめに調整ができなかったことによる。平成25年度については、この85円分を当初予定の25年度予算に加えた形で計画的な使用計画となる見込みである。
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