(1)クロロフィル色素増感太陽電池を正規のカリキュラムに取り入れるために、短時間(約10分間)でクロロフィルを酸化チタンに吸着させる方法の開発に成功した。短時間でクロロフィルを酸化チタンに吸着させるためには、ワカメから抽出したクロロフィルcを含む抽出液を用いると有効であることを明らかにした。 (2)白熱灯など比較的弱い光源からの光によってもクロロフィル色素増感太陽電池の発電によって電子オルゴールが駆動可能な、かつ塗布しやすい酸化チタンペーストを開発した。平均粒子径が0.1~0.3 μmのアナターゼ型酸化チタン(IV)、アセチルアセトン、チタンテトライソプロポキシド、ポリエチレングリコール400から調製したペーストを用いることで、発電効率のよい酸化チタン膜を形成できることがわかった。 (3)作製したクロロフィル色素増感太陽電池を3つ直列に繋ぎ、白熱灯の照射下において電子オルゴールを駆動する(メロディーを奏でる)ことに成功した。また、直流電源装置から補助電力を供給してクロロフィル色素増感太陽電池を並列に4つ繋ぎ、白熱灯照射下でモーターを駆動することにも成功した。 (4)色素増感太陽電池を取り入れた中学校第3学年への授業実践の結果、授業前は約7割の生徒が科学技術に多少を含め不安を抱いていたが、授業後はそのうちの約半数、5割強の生徒が科学技術への不安を将来への期待に変えたことがわかった。このことより、色素増感太陽電池を正規の授業で取り上げることで、子どもたちの科学への不信感・不安感をかなり払拭できることを明らかにした。
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