地域の大気・熱環境を対象として,児童生徒や教諭が実際に身近な地域の自然環境の定点観測や調査を行ったり,気象・大気などに関する外部機関による身近な地域のデータを用いたりしてエネルギー環境学習を行うための学習プログラムを開発することを目的として,以下の研究を実施した. 昨年度までに機種選定を行い,連続測定を行っている大気中二酸化炭素濃度の解析より,簡易測定器でも日変化や季節変化を明瞭に捉えられることがわかり,データの有用性が確認できたため,二酸化炭素濃度データベースを作成してデータ更新中である. 環境放射線の簡易測定器を用いて,連続測定を行っているデータを検討した結果,モニタリングポストデータでは明瞭に表れている降雨の影響が,本研究の使用機器,測定環境,測定方法ではほとんど捉えられないことが明らかとなった.簡易測定器を用いた環境放射線走行サーベイシステムを構築し,得られたデータを地形図や地質図上にマッピングする方法を確立した. 春の熊本市におけるPM2.5高濃度事象の汚染タイプと輸送パターンを,大気環境測定局のPM2.5濃度データ,地上天気図,ライダー観測結果,モデルによる硫酸塩エアロゾル分布画像,後方流跡線解析により調べたところ,越境大気汚染の影響が大きいことがわかった.教材化に適した顕著な事象はなかったため,今後も事例解析を続ける必要がある. 身近な空の様子(霧や雲,大気の濁り・視程,火山活動など)を得るために展開している映像観測網によって得られた画像データベースを学校現場で利用しやすくするために,関連する気象データや情報,火山に関する情報へのリンクも含めたホームページを作成した. 温暖化や大気環境に関する学習プログラム用の教材や資料,それらを用いた授業実践例などを教員研修会や免許更新講習等で紹介し,改善のための意見聴取を行った.また,簡易測定器の貸出についての案内も行った.
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