研究課題/領域番号 |
24501063
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
荒井 隆行 上智大学, 理工学部, 教授 (80266072)
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キーワード | 科学教育 / 音響教育 / 音声生成 / 声道模型 / 可視化 / 母音 / 子音 / 成人・子ども |
研究概要 |
音声の生成に関する仕組み等を分かりやすく理解するための模型を中心とした教材・教育プログラムの開発等を進めているが、引き続き「より人間らしい音声」を生成できる模型を追求するため、主にリード式音源、筒型、頭部形状、舌可動式、スライド式3音響管の各模型を中心に、対象を成人男性のみならず成人女性や子どもにも広げ、また音の対象も日本語の母音に子音(日本語ラ行音や英語の/r/・/l/音)を加えるなど、様々な開発を進めてきた。舌可動式声道模型:ブロックを用いた屈曲型の模型を対象に再設計を行い、5母音が生成できることを改めて確認。はじき音用と接近音用(共に舌の上半分が折れ曲がる)模型を用い、生成実験と聴取実験を実施。さらにそれらの模型について特許を出願した。また、日本語を母語とする子どもがラ行子音を獲得するのが難しいというテーマについて、模型を使った説明を展開(日本コミュニケーション障害学会にてシンポジストとして報告)。スライド式3音響管:子ども・女性用のサイズとして短く細いタイプを科学館展示用に改良(沖縄とスイスの科学館にて2014年度から展示)。筒型および頭部形状:やはり改良版が科学館の展示に。教育プログラム等:成果の一部を説明文、デモ動画・音声等でAcoustic-Phonetics Demonstrationsとして、web上にて公開を開始したが、その更新を続けた。なお、その取り組みについては、国際音響学会議(International Congress on Acoustics)と日本音響学会の研究発表会にて共に招待講演の中で紹介した。以上について、Cincinnati大学とは引き続き共同研究の可能性を含め情報交換、英国University College London大学、米国テキサス大学やインディアナ大学、チリの大学にて成果を評価・活用してもらうために、模型を送った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「より人間らしい音声」を生成できる模型を追求することが本研究課題の目的であるが、そのためには主にリード式音源、筒型、頭部形状、肺、舌可動式、スライド式3音響管の各模型の改良が鍵となる。このうち、舌可動式については2012年度からブロックを用いた屈曲型の模型を対象に再設計を行い、5母音が生成できることを2013年度に国際会議(ICA)にて報告した。スライド式3音響管については2012年度に子ども・女性用のサイズとして短く細いタイプを試作したのを受け、2013年度にはその成果をリード式音源、筒型および頭部形状の改良版と合わせて沖縄とスイスの科学館の展示用に改良した。その他、母音のみならず子音の例として日本語のラ行音(はじき音)と英語の/r/や/l/(接近音)を実現する模型も開発し、学会にて報告。特許の出願も行った。それらの成果の一部は、Acoustic-Phonetics Demonstrationsとしてweb上にて公開している。
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今後の研究の推進方策 |
リード式音源については、小さいサイズの最適なものを特定する。舌可動式声道模型についてもサイズに関する検討と合わせ、指操作式の具体化、ブロックをスライドさせるタイプの再検討等を進める。スライド式3音響管については、科学教室などで工作がより容易になる工夫の絞り込み、ディジタル・パターン・プレイバックについてはタブレットPC版の試作、そしてそれらを活用しながら公開中のAcoustic-Phonetics Demonstrationsの更新を図ることを予定。
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