音声の生成に関する仕組み等を分かりやすく理解するため、「より人間らしい音声」を生成する模型を中心とした教材・教育プログラムの開発等を進めた。特に、成人男性に加え成人女性や子どもも対象に、日本語5母音のみならずその他の母音や子音を含むより多様な音声の生成を試みた。 舌可動式声道模型:ブロックを用いた屈曲型の模型から各種母音が生成された。同様の模型に鼻腔を追加し、鼻音化母音の生成にも成功した。舌の前半分が折れ曲がる模型、および口腔形状を板ブロックの抜き差しで実現する模型によって子音(特にはじき音と接近音)を実現(特許出願済み)。スライド式3音響管(S3T):短くかつ細い筒を用いた子ども・女性の母音を、科学教室用に開発。筒型および頭部形状:科学館展示用に改良を続けた。ディジタル・パターン・プレイバック:イントネーションを付加させたり歌声合成をするために基本周波数を可変させ、スペクトログラム・ボコーダとして拡張。 教育プログラム等:研究成果として説明文、デモ動画・音声等をさらに充実させ、Acoustic-Phonetics Demonstrationsのweb siteから公開中(北海道大学など他機関による利用も始まっている)。また、国立科学博物館のサイエンススクエアでは、2014年は音響教育展示にワークシートを導入した。 以上の研究成果について、2014年度は国際音響学会議(LabPhon/INTERSPEECH)や日本音響学会の研究発表会にて報告(招待講演も含む)。また、2014年度は和歌山大学・石川高専・アメリカCincinnati大学・California大学LA校・オーストラリアWestern Sydney大学・ドイツMunich大学に模型を送り活用と評価を実施。そして、博物館・科学館との連携として、沖縄こどもの国・スイスTechnorama・ドイツHaendel Haus(音楽家ヘンデルの生家)にて声道模型の展示を実現した。
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