研究課題/領域番号 |
24501064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
米山 忠興 東洋大学, 文学部, 教授 (00120353)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 和算 / 算額 / 自然科学教育 / 数学教育 |
研究概要 |
研究計画のうち、(1)の算額の実地調査については、とくに古い算額は、風化による劣化がはげしく、文字の判読が難しいことが多いが、実地に調査すれば、何とか読みとれることが多い。夏に東北地方、秋には会津、そして年度末の3月には京都・高砂を訪れ、算額の見学と実地検分のほか、和算史資料の調査、算額奉納の準備などを行なった。 (2)の解法の探究について、今年度はおもに「傍斜術」について、探究・検討した。傍斜術は和算及び算額ではかなり多くみられる問題であり、和算の特徴的なテーマの一つであるといえる。安島直円・會田算左衛門らの解法に現代的な解説も加えて、紹介する論文を発表した(東洋大学紀要自然科学編第57号「和算と算額-補遺(1)傍斜術」)。 (4)の数学教育への活用については、ここ数年来の懸案だった『和算の解法』を出版し、さらに和算を数学教育に活用するために、和算研究者・高等学校数学教員などに向けて、アンケートの依頼中である。 (3)の和算の再評価と紹介については、東洋大学紀要に前述の論文を発表したことで、一応、その目的は達成したと見なせると思う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.和算と算額の実地調査のため、東北、会津、京都・高砂を訪れ、算額の見学と実地検分のほか、和算史料の調査、算額奉納の準備などを行なった。 それらの調査・研究の成果の一つとして、東洋大学紀要自然科学編に「和算と算額-補遺(1)傍斜術」を投稿した。 2.『和算の解法』の出版。数学教育・自然科学教育に資するべく、とくに高校生ならば「解けるか、あるいは理解できる」程度の数学・幾何の問題とその解法を、主として和算・算額から選んで出題し、和算史・解答篇を併せて示した。 3.つぎの課題として、上州一ノ宮:貫前神社の算題などを、現在検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
数学教育・科学教育の教材として有効な和算の問題を掘り起こし解説を加えていく。 算額を試作し、その問題点や意義を実践・体験し、さらに、数学教育の教材として、神社に奉納し展示する予定である。そのことが、和算の普及・紹介に大いに役立つと思われる。 また、等円術の比較的程度の高い問題や、私自身が見つけた「小さな定理」などを、「和算と算額-補遺(2)(仮題)」として、検討し、発表していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度末に、関西への出張を見込んでいたが、退職教員の送別会などの予定がぎりぎりまで分からず、結果として、出張予定を短くし、それにより、約4.2万円ほどの次年度への繰り越しが生じた。これについては、平成25年度の調査・出張などの有効に活用したい。 平成25年度には、愛媛県伊佐爾波神社や群馬県貫前神社の算額の実地調査、北海道ニーカップ神社の算額の所在調査などを行う予定であり、そのための調査・研究用出張旅費が必要である。 今までに集めた和算データを、今後も引き続きパソコンに入力・集積するための入力用ソフト代。 数学教育を充実させるための献本々代とアンケート調査の費用。 夏の和算研究会への参加や、算額を試作・展示(奉納)するための打合せ出張旅費。
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