研究実績の概要 |
前年度に引続いて、研究代表者は、8月には、東北地方の算額の調査と和算情報の収集を行なった。11月および3月には、松山・徳島を中心に算額の所在調査などを行なった。その中では、とくに、伊予・新谷藩の歴史と和算家を研究している新谷・法眼寺の院首・八島龍晴老師からの指摘により、和算家・岩田清謹についての知見を得ることができた。また、1月半ばには、龍野で、粒座神社と阿宗神社を訪れた後、昨年2月に試作・奉納した「高砂神社奉納算額 第二」の経年変化などを観察した。 また、研究協力者は、10月に、塩竈神社奉納算額の解法を探究した結果を東北地区和算研究会で発表し、併せて塩竈神社の未解決問題の解消に積極的に参加・協力して、その「解義」の出版と奉納に立ち会った。 研究成果として「和算と算額補遺(3)―高砂神社奉納算額 第二―」を東洋大学紀要自然科学篇 第59号.pp.155-165, 2015に発表した。 先に(2012年12月)出版した『和算の解法』をさらに平易に記述することと、数学に「苦手意識」を持っている高校生・大学生・さらには教員向けに、数学の面白さ、有用性を、実感として肌で理解してもらえるような一般向けの数学書を作成すべく、現在も鋭意検討中である。 さらに、以前からの継続性を考慮して、本研究課題のA4判冊子体報告書「和算と算額の数学史・文化史的な調査・研究と解法の探求、及びその数学教育への活用」を作成した。
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