本研究の目的は、児童・生徒が授業内、あるいは授業外でも、発展的な知識を系統的に得られるツールを開発し、より理科に関心をもち、自ら積極的に学習することができるような環境を提供することである。これらの教材には、優れた教育番組を用いることがより有効であると考え、研究計画を立て、その基本的な技術や教育内容の精選を進めてきた。また、テレビ番組の制作・編集を経験した研究者の協力を得ながら、教育効果が高く、より安価な動画作品を制作することも実施した。 これらの教育教材は教育現場への活用が模索されている iPad(Apple社)で活用できるアプリとして開発することを目指した。現在は iPad で活用できる教育用アプリがさまざまな方面で開発されており、米国や韓国ではその多くが学校現場でも活用されている。日本でも、千葉県や福岡県の高等学校で iPad を導入したのをはじめ、多くの学校で導入を前向きに検討している。コンパクトで持ち運びしやすいことや、バッテリー容量が大きいことから、iPad はノートパソコンよりも活用できる場面が広く、授業でも大いに活用できる。 教材として組み込むべき内容を精選し、必要な資料を取り揃え、コンテンツの制作を行うためのスキルを習得することができ、また一度完成したコンテンツを微修正する効果的な手法も身につけることができた。教育用番組をそのまま活用するよりも、申請者をはじめとする教育者や研究者などによってシナリオを作成し、オリジナルの動画を作成したほうが効率的かつ教育効果も高いと考え、そのような方法で研究を進めた。 これらの活用場面は学校現場のみでなく、博物館や資料館などでも活用できることがわかり、申請者が研究フィールドとしている足尾銅山の歴史教育に対して実際に活用してみた。静止画で学習するよりも動画で学習するほうが教育効果も高く、有効であることがわかった。
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