研究課題/領域番号 |
24501070
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
吉川 直志 名古屋女子大学, 文学部, 講師 (70377919)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 理科教育 / 擬人化 / 粒子的見方考え方 / 体感学習 |
研究概要 |
平成24年度の研究では、目に見えない「粒子」を一人一人が演じて、その「粒子」が構成する全体の振る舞いを再現することにより自然現象を理解する体感型理科教育の方法を小学校の理科で取り入れる方法を検討しました。小学校理科の中でこの方法を取り入れることが可能な単元をリストし、それぞれについて、個々が「粒子」となって動いた場合の表現や理解の方法をみんなで動きながら確認しました。小学校理科の教科書にある内容で、「粒子」を擬人化し、自分の動きによって「粒子」の動きをイメージでき、さらに全体の振る舞いとして自然現象を体感できる手法の構築を目指しました。今年度、検討を主に行ったのは、小学校3年生の「風の働き」「磁石の性質」、小学校5年生の「空気と水の性質」における、体感学習の方法の利用方法です。現象の真の理解に近づけるために、その現象の根本である「粒子」から自分でイメージできる手法の可能性を確認できました。また、ゲーム性をとりいれることで、遊びの中で体感しながらその振る舞いをなんとなく理解していく効果についても検討し、いくつかの問題点も理解できました。現象を起こすのは、「粒子」の動きをコントロールしている物理法則ですが、この理解として、みんなで動く場合の「ルール」を法則として位置づけることが必要となります。正しい理解につなげるには、「ルール」も正しく、かつ、単純ですぐに理解して動きやすいものである必要があります。 今年度は小学校理科におけるみんなで「粒子」を演じる体感学習の可能性を検討し、いくつかの単元での事例を検証することで、擬人化体感学習の方法の構築を目指しました。この方法の有用性の確認として、名古屋女子大学の学生と共に実践し検討を加えています。ここまでに得られた成果は学会で発表し、また中間報告という意味で、今後、論文として発表していきます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画の中で、みんなで「粒子」を演じる体感学習の方法が利用できる内容を小学校理科の単元からリストし、擬人化して現象を表現する方法ごとに分類するところまで行うことができました。そのリストにそって、いくつかのコンテンツについて検討を行い、基本的な利用方法およびその効果についてまめました。 計画では遊びの中で理解を深めることを目的としてゲーム性を取り入れること考えていましたが、リストと各コンテンツの内容を作ることを優先させましたので、ゲームや遊びを組み入れることによるさらなる学びの期待については次年度以降の課題となります。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究で個別に行えなかった小学校理科の内容について、それぞれの擬人化体感学習の方法の取り入れ方を検討し、小学校理科で「粒子」から現象を理解する方法の全体像をまとめます。また、それぞれの現象の関連性を考慮することにより系統立てて学習できる流れを再構築します。小学校理科での体感学習の方法が組み立てられれば、中学、高校の内容へとその手法を進めて行くことが可能となり、より深い理解に導くための一つの学習方法へとつながると考えています。「粒子」を擬人化し実際に動いてみて、粒子的な見方考え方を身につけ、「粒子」のイメージを持って現象をとらえることができるようになることを目的とした学習指導の例を作り、実際の学習において利用し、また応用して使えるコンテンツの拡充を行います。 平成25年度の研究では、小学校、中学校の理科における擬人化体感学習の方法の利用について整理し、「粒子」イメージを持って現象の理解を進めるコンテンツを作成します。この方法の基礎となる部分がある程度整えられれば、現代科学の柱の一つである量子力学のイメージによる理解方法の検討を行います。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、みんなで「粒子」を演じる体感型理科教育の方法が利用可能な小学校理科の単元別の内容リストとその分類を行い、データを整理してデータベース化する作業は次年度以降にまわしました。購入を計画していたデータベース作成等のソフトは次年度の研究費での購入を計画します。 次年度の研究費において、本年度と次年度以降の研究のデータ整理と映像や学習方法のコンテンツをまとめるために、データベースの構築とそれを利用するためのパソコンおよびデータベースソフトを購入します。また、各コンテンツの実践的検証のために数回程度アルバイトをお願いしてデータ収集を行います。 前年までの研究成果を発表するため、論文の作成および学会発表を行います。この研究を行ってくれる学生にも積極的に学会に出てもらうことを計画しています。
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