研究課題/領域番号 |
24501070
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
吉川 直志 名古屋女子大学, 文学部, 准教授 (70377919)
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キーワード | 理科教育 / 粒子的見方考え方 / 体感学習 / 擬人化 |
研究概要 |
平成25年度の研究では、昨年度の研究に引き続き、目に見えない「粒子」を一人一人が演じて、その「粒子」が構成する全体の振る舞いをみんなで再現することにより自然現象を理解する体感型理科教育の方法を、様々な自然現象を個別に検討することで、コンテンツの拡充を図りました。小学校理科の中でこの方法を取り入れることが可能な単元のリストを基に、それぞれについて、個々が「粒子」となって動いた場合の表現や理解の方法をみんなで動きながら確認し、再現方法の検討を行いました。本年度の目標は、小学校理科を教える教員側のより深い現象の理解を図ることを主な目的とし、目に見えない「粒子」の振る舞いを実感による理解から、「粒子」の動きのイメージをはっきりさせることとしました。取り扱った内容は、「すがたをかえる水」やそれと関連して「自然の中の水」で扱われる水の三態変化から雲や雨の出来方についてみんなで演じて理解する方法、また、電気回路において導線を流れる電流ついてのイメージによる理解の方法などの検討を行いました。自分が動くことで、見えない粒子の動きを実感することを、名古屋女子大学の学生と共に検討し、その方法の有用性について確認していきました。擬人化による体感学習によって粒子イメージの持ち方を検証し、そのイメージが実際の自然現象へとつなげられるかどうか、また、他の現象への興味や考え方につながるかどうかを検討しました。 ここまでの成果は、中間報告として、学会において発表を行い、「擬人化体感学習の提案」として論文にまとめています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究では、粒子的見方考え方を自分たちが演じて動くことで、粒子の動きや振る舞いをイメージでき、理科が苦手な学生にとっても正しいイメージを持てる理解の方法の基礎作りが出来ました。いくつかの現象を例に、動きの「ルール」作りが自然法則につながることを、実践した学生が理解できるような構成にできることが確認でき、今後のコンテンツ拡充や、量子力学などの「粒子」現象への理解に対する応用の準備ができました。 ここまでで、小学校理科で扱われる「粒子」「エネルギー」の単元での利用のリストを作成し、その中の現象について個別に表現方法、利用方法を検討できました。方法のデータベース化は次年度に回し、先に単元間、コンテンツ間での考え方の系統性について研究を行い、理科を教える側の基礎知識に役立つ見方考え方を持つための一つの方法として提案できました。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究で検討できなかった小中学校理科の内容について、それぞれの擬人化体感学習の方法の取り入れ方を検討し、小中学校理科で「粒子」から現象を理解する方法の全体像をまとめます。また、教える立場となる教員側の系統的理解につなげられる手法としてのいくつかの例を作ります。「粒子」を擬人化し実際に動いてみて、粒子的な見方考え方を身につけ、「粒子」のイメージを持って現象をとらえることができるようになることを目的とした学習指導の例を作り、またそれを応用して使えるコンテンツの拡充を行います。 平成26年度の研究では、小学校、中学校の理科における擬人化体感学習の方法の利用の整理だけでなく、身の回りの現象について「粒子」イメージを持って現象の理解を進めるコンテンツを作成し、データベース化を検討します。この方法を基礎として、さらに、現代科学の柱の一つである量子力学のイメージによる理解方法の検討を行っていきます。
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次年度の研究費の使用計画 |
データベース作成を次年度の計画とし、データベース作成用ソフトなどを、次年度の購入としたため。検討しているソフトの新しいバージョンの利用を希望し、その額を次年度使用額としました。 データベース作成ソフトを次年度早期に購入し、研究に活用します。総額30万程度と見積もります。
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