研究課題/領域番号 |
24501077
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
西澤 一 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 教授 (40249800)
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研究分担者 |
吉岡 貴芳 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 教授 (30270268)
丹羽 隆裕 八戸工業高等専門学校, 総合科学科, 助教 (50611349)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際研究者交流(フィンランド) / 線形代数 / 理解度 / インタラクティブ / Web学習システム |
研究概要 |
1 インタラクディブな学習タスクによる空間ベクトル学習システムの改良 画面に表示された空間図形(空間中の直線と平面)を、学習者が直接マウス操作で移動させ、別に表示した目標に重ね合わせる学習コンテンツを作成した。この学習タスクをWeb学習システムに組み込み、学習コンテンツの終了画面に表示される数式のパラメータをHTMLフォーム経由でシステム側に解答する仕組みを構築した。これにより、コンテンツ毎に意図された移動、変形操作を、各学習者が実際におこなったかどうかをシステムが把握できるようになった。このコンテンツを組み込んだWeb学習システムを、豊田高専の学生を対象に試用し、特に、空間図形とベクトル方程式の関係把握に苦労している低進度学生の課外学習用に活用した。 2 学習システム説明言語の英語化 研究協力者(Pesonen教授)との協議の結果、上記学習コンテンツをフィンランドの大学生が利用しやすくするためには、フィンランド東部大学のWeb学習システムに組み込むのが有益であるとの結論に達した。学習コンテンツの表示を英語化するとともに、説明言語をフィンランド語(および英語)で記述した学習タスクを同大学のWeb学習システムに組み込み、2013年春学期の数学教員養成コースの授業で試用した。 3 主観的自己評価調査法の作成 研究協力者の協力を得て、学習者の主観的自己評価調査のためのアンケート用紙案を作成した。この用紙は(H25年度に)学生の理解が進む仕組みを分析するために使用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1 インタラクディブな学習タスクによる空間ベクトル学習システムの改良 予定通り、画面に表示された空間図形(空間中の直線と平面)を、学習者が直接マウス操作で移動させ、別に表示した目標に重ね合わせる学習コンテンツを作成した。また、この学習タスクを豊田高専のWeb学習システムに組み込み、試用した。 2 学習システム説明言語の英語化 予定通り、上記学習コンテンツをフィンランド東部大学のWeb学習システムに組み込み、試用した。 3 主観的自己評価調査法の作成 予定通り、学習者の主観的自己評価調査のためのアンケート用紙案を作成できた。
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今後の研究の推進方策 |
1 システムを用いた学習活動の観察 平成24年度に改良した学習システムを用いた活動を豊田高専の授業で実践し、本研究への協力を申し出た学生の行動をビデオ撮影する。また、演習の手書き答案を過去の学生の答案と比較し、説明力の変化を調べる。八戸高専では、課外活動として学習システムを用いた活動を企画し、学生の行動をビデオ撮影する。ここで観測された学習行動を分析し、その特長を抽出する。 2 学習者の主観的自己評価の調査 両高専で、学習システムを用いた活動の前後にアンケート調査を実施し、典型的な学生を抽出して、面談調査を行い、調査結果を検討する。学会発表(VARE13, 11月)を機に西澤がフィンランドを訪問し、分析結果に基づく検討と、指導方法の修正、アンケート用紙/面談時の質問リストに関する助言を得る。 3 学習活動と自己評価の分析 システムを用いた学習行動、演習の手書き答案の質的変化等、外部からの観察結果と、アンケート回答、面談調査等、学習者の主観的自己評価を照らし合わせ、これらを総合して、学習者が空間図形に対するイメージを獲得し、図形と数式(ベクトル方程式)の関係を把握するに至ったプロセスを分析し、理解を深化させるしくみを明らかにする。特に、インタラクティブな3Dグラフィックスを用いて学習者が空間図形の移動、変形を操作する学習タスクが、理解を深めるのに直接寄与するのか、それともこの活動が動機付けとなり、従来型の授業と演習での理解深化を補助するのかを切り分けたい。 4 システムの改良 システムを用いた学習活動と自己評価の分析結果から、学習者が空間図形を操作し、数式と関連付ける学習タスクの有効性と限界を把握し、タスクの内容と形式に改良を加える。また、学習タスクの効果が主として動機付けであると判明した場合には、豊田高専の授業プラン組み替えも検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
国際会議(ICTMT11, 7月とVARE2013, 11月)で研究途中成果を発表し、参加者との討議を通じて、問題点を絞り込むと同時に、VARE2013出張時については、フィンランド東部大学を訪問して、アンケート、面談調査の結果を合同で協議する。
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