研究課題/領域番号 |
24501077
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
西澤 一 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 教授 (40249800)
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研究分担者 |
吉岡 貴芳 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 教授 (30270268)
丹羽 隆裕 八戸工業高等専門学校, 総合科学科 物理, 助教 (50611349)
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キーワード | 国際研究者交流(フィンランド) / 線形代数 / 理解度 / インタラクティブ / Web学習システム |
研究概要 |
1 インタラクティブな空間ベクトル学習システムを利用した学習活動の観察 豊田高専(電気・電子システム工学科)2年生を対象に、学習システムを用いた学習活動を授業で紹介するとともに、理解度の低い学生の課外活動として利用させた(49名中20名の学生が使用した)。一部学生の行動をビデオ撮影し、演習の手書き解答を過去の学生の解答と比較した。フィンランド東部大学では、英語化した学習コンテンツを同大学のシステムに組み込み、授業中の活動として実施、HTMLフォームで学習者の記述式解答を収集した。また、八戸高専では、理解度の低い学生(の希望者)に課外活動として学習システムを利用させ、聴き取り調査を行った。 2 学習者の主観的自己評価の調査 豊田高専では、演習の手書き答案に質的変化(特に、空白解答の減少と、コメント文の増加)が認められた。八戸高専では、低進度学生が学習コンテンツを操作することが用意でないことが分かった。また、フィンランド東部大学では,学習コンテンツの自由度を制限し、学習内容を絞った複数コンテンツに分割する必要性を指摘された。 3 学習活動と自己評価の分析 豊田高専での実践では、学習システムの活用により、課外紙上演習における空間ベクトル分野への参加度が増加し、最終合格率の向上につながっている可能性が示唆された(詳細を、ICTMT11で報告し、TMIA誌に投稿した)。フィンランド東部大学には、学習内容を絞ったコンテンツを提供した。八戸高専では、学習コンテンツの使用法と注目点を解説する動画の作成提案があった。 4 学習システムの改良 学習システムの使用が、課外紙上演習を活性化につながることが分かった。また、低進度学生用には、学習コンテンツの使用法を解説する動画が有効ではないかとの意見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) 1 インタラクティブな空間ベクトル学習システムを利用した学習活動の観察 豊田高専では、クラスの約半数の主として低進度学生に、学習システムを使用させ、彼らの学習活動を観察できた。また、フィンランド東部大学では、学習コンテンツを使用した学習活動を授業内に組み込み、HTMLフォームで回収した学生の記述式解答を収集できた。 2 学習者の主観的自己評価の調査 面談調査から、学習者の主観的自己評価の変化を抽出することは難しいことが分かったが、手書き解答の変化、および、課外紙上演習への参加率と最終合格率から、学習者の状態を評価できることが分かった。 3 学習活動と自己評価の分析 学習システムと課外紙上演習との融合、および、学習コンテンツ使用法解説動画の導入が有効との示唆を得た。 また、本研究と平行して実施しているプロジェクトの結果から、空間ベクトル学習の導入、および、学習動機付けに、ベクトルを用いた対戦式ゲームを活用できるのではないかとの示唆を得た。 4 学習システムの改良 学習システムの使用が、課外紙上演習を活性化につながることが分かってきたので、両者をより密接に連携させるべく、学習システムを改良した。
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今後の研究の推進方策 |
1 学習システムを利用した学習活動の観察と分析 学習者が空間図形を操作し、数式と関連付ける学習活動は、抽象度が高く無味乾燥になりがちな空間ベクトルの学習を学習者が放棄することを防止し、紙上演習への参加率と(その結果として)最終合格率を押し上げていることが示唆された。H26年度は、個々の学生の手書き答案(の説明の詳しさ)と、学習システムの使用履歴との関係を調査することで、システムの利用が理解度を深化させているかどうかを分析したい。 2 学習システムの改良 学習コンテンツの操作性を向上(より直観的な操作の実現)させるとともに、操作法解説動画を作成し、システムに組み込む。また、同時に、学習動機付け効果を期待できる対戦ゲームをシステムに組み込むことを検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、学習システムを利用した学習者の観察、分析に注力したため、システム改良に用いる予定の物品費が、予定より少なくなった。 学習システム改良のための物品費、および、国内旅費として、平成26年度に使用する予定である。
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