本研究では超小型人工衛星開発プロジェクトを進展させるため、ソーシャルネットワークサービスを利用した衛星データのオンライン配信・共有システムを開発した。具体的には、ボードコンピュータRaspberryPiとワンセグTVチューナーで構成した受信機、ソフトウェア無線(SDR)、Twitterボット、Twitterサービスを組み合わせ、プロジェクト支援者が受信した衛星データをTwitterに投稿するシステムを開発した。このシステムの特徴は、安価かつ容易に導入できる、一定条件下で任意の衛星に対応する、サーバの構築や管理が不要、ブラウザで準リアルタイムに受信データを閲覧できるという点にある。このシステムをプロジェクト支援者が導入すれば、衛星開発チームは独自に受信ソフトを開発・提供することなく、効率的に衛星データを収集することが可能になり、衛星運用やミッション遂行に専念できるようになる。 昨年度までの研究では、RaspberryPi上で動作するSDR(RTL-SDR)、ソフトウェアTNC(DireWolf)、Twitterボットの連係動作で、AX.25プロトコルUIフレーム形式の1200bps-AFSKまたは9600bps-GMSKのパケットデータを受信するとTwitterに投稿するシステムの試作が完了した。そこで、今年度は投稿時の誤動作を防ぐため、パケットデータからテレメトリなどの衛星データのみを抽出するフィルタ機能と、衛星データが140文字を超える場合は分割して投稿する機能をボットに実装して安定性を向上させた。また、RaspberryPi3を採用することで無線LANアダプタを不要にし、最新型のワンセグチューナー(R820T2と1PPM-TCXOを搭載)を採用することで受信性能を向上させ、開発システムの実用性を図った。
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