研究課題/領域番号 |
24501083
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人大学評価・学位授与機構 |
研究代表者 |
鈴木 賢次郎 独立行政法人大学評価・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (60012506)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
2012年度に、東京大学教養学部において、理科I類(主として、理・工学部に進学)の1年生を対象に、心的切断テスト(Mental Cutting Test:以下、MCTと略記、満点25点)を実施した。この結果を、準備研究として、同じく東京大学教養学部理科I類の学生に対して、2009~2011年度に実施してきたMCTで未分析であったデータとあわせて分析した。2009~2012年度における男子被験者のMCT平均得点(標準偏差、被験者数)は、それぞれ、21.7点(2.6、74)、20.9点(3.5、233)、20.7点(2.9、110)、21.1点(2.9、90)であり、この4年間の平均得点は21.0点であった。これらの学生は1998/1999年度の教育指導要領改定により、小学校から、「ゆとり教育」による教育を受けた学生である。これらを筆者らによる先行研究の結果、すなわち、中・高校から「ゆとり教育」を受けた学生(2006~2008年度)の平均得点21.2点、および、小~高校において「ゆとり教育以前」の教育を受けた学生(2003~2005年度)の平均得点20.6点を比較分析すると、3者間に有意差は見られず、「ゆとり教育」により図的表現法や空間幾何学に関する教育内容・教育時間の削減が、大学入学時の学生(高学力層)の空間認識力に大きな影響は与えていないことを示唆する結果を得た。 関連して、日本、及び、中国において、小学校から高校までの生徒・学生に対して1992年に実施したMCT調査結果の再整理と分析を行い、中学校における図的表現法や空間幾何学についての教育が空間認識力の育成に効果があることを示し、国際学会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示したように、研究計画通り、2012年度に東京大学教養学部においてMCTを実施し、準備研究として、2009~2011年度まで実施してきたMCTで未分析であったデータとあわせて分析した。これらの学生は1998/1999年度の教育指導要領改定により、小学校から、「ゆとり教育」による教育を受けた学生である。これらを筆者らによる先行研究の結果、すなわち、中・高校から「ゆとり教育」を受けた学生(2006~2008年度)の平均得点、および、小~高校において「ゆとり教育以前」の教育を受けた学生(2003~2005年度)の平均得点を比較分析すると、3者間に有意差は見られず、「ゆとり教育」により図的表現法や空間幾何学に関する教育内容・教育時間の削減が、大学入学時の学生(高学力層)の空間認識力に大きな影響は与えていないことを示唆する結果を得た。 また、大学入学時の学生の空間認識力に影響を及ぼすと考えられる小~高校までの図的表現法や空間幾何学についての教育による育成効果について、以前に小~高校において実施したMCT調査データの再整理と詳細な分析を行い、その結果を公表した。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度に引き続き、東京大学教養学部において、理科I類(主として、理・工学部に進学)の1年生を対象に、図形科学Iのガイダンス時(10月初旬)に、心的切断テスト(Mental Cutting Test:以下、MCTと略記、満点25点)を実施し、高学力層に対するデータの充実を図る。また、中学力層における「ゆとり教育」実施の影響を調べるために、日本大学等において、MCTを実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度夏に中国(大連)において開催される国際学会(AFGS 2013)において、当該研究の成果を含む研究発表を行う予定であり、そのための旅費が必要である。また、データの統計的な処理や学会での発表に使用するノートパソコンを購入する予定である。
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