研究課題/領域番号 |
24501084
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
眞嶋 良全 北星学園大学, 社会福祉学部, 講師 (50344536)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 科学教育 / 実験系心理学 / 社会系心理学 / 科学リテラシー |
研究概要 |
平成24年度は,スピリチュアリズム,占い,サイ等のいわゆる第一種の疑似科学,マイナスイオン等の第二種疑似科学,宏観異常現象等の第三種疑似科学信奉を測定する尺度の整備を行うとともに,それらの尺度と,確率推論課題(サンプリング,ランダム性等の基礎的概念の理解度,連言錯誤と呼ばれる確率への誤信念),論理的推論課題(日常的な題材を用いた三段論法課題),科学リテラシー(PISAで用いられた科学技術基礎概念理解度),および認知判断傾向尺度(認知欲求,認知完結欲求,合理的-直感的思考スタイル)との関係について予備的な調査を行った。 その結果,疑似科学信奉を測定する尺度については,第三種疑似科学を除いて概ね安定的な指標を得ることができた。また,疑似科学信奉と認知課題(確率推論,論理的推論)の成績との間には関連性が見られず,誤帰属仮説が支持されない結果となった。一方で,疑似科学の領域によって多少の違いはあるが,認知判断傾向や科学リテラシーと疑似科学信奉の間には,ある程度の関連性が認められた。また,調査対象者の年齢(スピリチュアリズム,第三種疑似科学),および性別(スピリチュアリズム,サイ,第二種,第三種)による信奉度合いの違いも一部ではあるが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画のうち,疑似科学信奉尺度の整備については概ね達成することができた。また,誤帰属仮説の汎化可能性の検討についても,予定した調査は行うことができた。しかし,先行研究の成果と異なる結果が得られており,その不整合を説明するモデルが必要となっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の成果を元に,平成25年度においては,疑似科学への信奉の程度を測定するための質問項目をよりコンパクトに整理するための調査を行う。また,24年度において使用した認知課題に加えて,別の側面から個人の思考スキルを測定する共変検出課題,因果帰納課題等の課題の整備を行い,24年度の成果と併せて質問票として整備する。作成された質問票を用いて,疑似科学信奉と思考スキル,認知判断傾向,リテラシーとの間の関係を検討する。しかしながら,24年度に行った調査では,誤帰属仮説と整合しない結果も得られており,これらの各変数間の関係性について,新たな説明モデルが必要となる可能性が高く,そのモデルの候補について結果を元に検討する。 これらの成果に基づいて,最終年度である26年度に実施予定の,思考スキル,認知判断傾向を改善するための批判的思考訓練技法の開発と,その訓練を経ることが誤った信念の解消に繋がるかどうかの検討のための準備を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に予定していた海外における研究資料の収集について,予定していた出張を行うことができなかった。 そこで,平成25年度において,24年度に予定していた関連領域の研究動向に関する資料の収集と,隣接領域の研究者とのディスカッションを行うための国内外への出張を行いたい。また,平成24年度に行った研究の成果は,当初計画の通り,平成25年7月に開催される13th European Congress of Psychology (Stockholm, SWEDEN),第54回日本社会心理学会(沖縄国際大学)において発表する予定である。さらに,25年度においては,参加者を個別に集めて行う心理学実験を行う必要が出てきた。その実験の円滑な実施のために,当初の計画で予定していなかった実験補助を大学院生等に依頼したいと考えている。この謝金についても,昨年未使用であった助成金の一部を充てたいと考えている。
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