研究課題/領域番号 |
24501084
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
眞嶋 良全 北星学園大学, 社会福祉学部, 講師 (50344536)
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キーワード | 科学教育 / 実験系心理学 / 社会系心理学 / 疑似科学 / 超常信奉 / 科学リテラシー |
研究概要 |
平成25年度は,疑似科学,および超常信奉を測定する尺度の項目を選定しなおすとともに,それらの尺度と,確率推論課題(サンプリング,ランダム性等の確率に関する基礎概念の理解度,連言錯誤と呼ばれる確率への誤信念),論理的推論課題(日常的な題材を用いた三段論法課題),科学リテラシー(科学技術基礎概念の理解度),および認知スタイル(認知欲求,認知完結欲求,合理的-直感的思考スタイル等の尺度で測定される認知判断傾向)との関係を検討した。 その結果,これらの非合理的事象への信奉は,認知課題(確率推論,論理的推論)の成績との間には関連性が見られず,誤帰属仮説が支持されない結果となった。一方で,疑似科学の領域によって多少の違いはあるが,認知判断傾向との間には,一定程度の関連性が認められた。この結果から,疑似科学,および超常現象に対する信念は,われわれの認知能力によってではなく,認知スタイルによって決定されることが示唆された。また,調査対象者の性別も信奉の程度に影響を与えていたが,これは信奉を測定するために採用した項目の内容に依存する結果であると解釈された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超常信奉に関する測定尺度は,既存のものを流用することとしたが,疑似科学信奉の測定尺度については,先行研究がなく,新規の項目を使用している。そのため,超常信奉に比べると相対的に尺度構造が安定せず,個別の話題毎に分析せざるを得ない状況にあり,安定的な疑似科学信奉の測定尺度の整備が急がれる。しかし,いずれの信奉についても,先行研究で指摘されているような認知能力との関連性は認められず,認知スタイルとの関連が見られており,誤帰属仮説を否定する結果となっている。このことから,現在,直観的・自動的処理と分析的・統制的処理という2つの認知過程を考える,思考の二重過程理論を基本的な枠組においた説明モデルを構築中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度においては,疑似科学および超常現象への信奉と認知課題,および認知スタイルとの関連性について最終的な検討を行う。そのため,特に疑似科学信奉の測定尺度の整備を急ぎ行う。また,認知課題については,これまで使用した論理・確率推論課題に加えて,別の側面から個人の思考スキルを測定する課題を追加する予定でいる。 最終的な調査には,より大きなサイズのサンプルが必要となるため,オンライン・サーヴェイ等の調査環境の整備を早急に進める予定である。 これらの成果に基づいて,疑似科学および超常現象への信奉の程度を予測することができる認知モデルの構築を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に予定していた国内外の研究発表のための出張が,校務等のために一部不可能になったことと,安定した疑似科学信奉尺度の構成に手間取り,非合理的事象への信奉と認知能力,認知スタイルとの全体的な関連を調べる大規模調査の準備が計画通り進まなかったため。 当初の予定では,最終年度における調査・実験のうち,特に調査については質問票を配布することでデータを収集する予定であったが,より多数のデータを効率的に収集・分析するためオンライン・サーヴェイが可能な Web サービスの利用が適切であると判断した。その費用について,昨年未使用であった助成金を充てたいと考えている。 また,平成25年度までに実施した研究成果について,国内外の学会(3~4件ほどを予定)において発表を行う。さらに,研究成果を論文として公表するにあたり,英文の校閲費用が必要になる。これらの費用については,26年度分として請求した助成金を充てる予定である。
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