平成24年度には全国のユネスコスクールに対してアンケート方式による実態調査を行い、北陸を中心とする101校から回答を得て、調査結果の集計・解析を行った。平成25年度には、調査結果の詳細な分析・検討を行うとともに、特に北陸等のユネスコスクールに対する補足調査を行い、ESDへの取組、ESDの評価の考え方を精査した。 平成26年度には、富山県富山市立古沢小学校、神通碧小学校、石川県金沢市立千坂小学校等の詳細なケーススタディを通じ、ESDを通じて身に付けたい能力、その評価手法の検討を深化した。また、宮城県気仙沼市におけるESDカリキュラム開発と学習評価の枠組みづくりに関する詳細な検討を行うとともに、市内の全小中学校がユネスコスクールである勝山市における全国学力・学習状況調査の結果を分析した。 3年間の調査を通じて、①取り組みの目標や活動内容に即して評価の観点を個別に決める方式、②従来から用いられている「学力評価の4観点」を用いる方式、③国立教育政策研究所が提唱した「ESDが重視する7つの能力・態度」を用いる方式、④課題・問題解決のプロセスを重視し、批判的思考能力・問題解決能力の向上を評価する方式、⑤上記の方式を複数組み合わせる方式に、ESD評価の観点が大別されることを明らかにした。評価の方法に関しては、教師による評価のみならず、児童・生徒による自己評価、相互評価や父兄、地域の人々による評価のような多様な主体による評価が導入されつつある。評価のタイミングについては、単元計画ごと、学期ごと、学年末といった形で分散しているが、長期的な観点からの評価が増える傾向にある。長期的な評価を可能にするため、ポートフォリオの活用が徐々に広まりつつある。勝山市における分析からは、ESDに取り組むことにより、特に活用に関する問題を中心に、全国学力・学習状況調査の正答率が高くなっている。
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