研究課題/領域番号 |
24501096
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
戸谷 義明 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30180186)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生活に役立つ理科 / 出前化学実験 / 化学実験教材 / 個別指導体験型 / 実験・観察 / 科学教育 |
研究実績の概要 |
身の回りや身近なことがらと結びついた内容で,理科が役に立つ教科であることを実感でき,理科学習に活用できるような化学(科学)実験教材を開発し,開発したコンテンツで実践を行い,アンケートなどから実践を評価し,改善処置をすることを繰り返して実験教材と指導法を継続的に発展させ,完成させるのが本研究の目的である。 2014年度は9日(回)の実践を行い,科学実験教材の開発・改善を行った。とりわけ,2013年度の愛知県の離島,篠島小学校への出前に引き続き,2014年度は今年度末で廃校になった富山小中学校へ,先方からの希望で化学マジック関係を個別指導体験型での実験として出前し,愛知県の山村への出前実践を実施することができた。 個別指導体験型の食品関係の教材実験としては,中学生対象の実験教室を開催し,公表済みの「カルメ焼きづくり」の実験方法を用いて実践を行うことができた。さらに,実験講座で実践可能な「水あめづくり」の実験法を詳細に検討し,開発した方法で附属高等学校2年生対象に実験教室を試行することができた。その結果,実験時間と方法を改善する必要があることが判明したため,実験法を改善し,再実践により検証することとした。アルギン酸ビーズ関係の実験についても,2013年度に行った,各種飲料のアルギン酸ナトリウム溶液の粘度,および,それらから調製したビーズの圧縮試験の測定の結果を受け,音叉型振動式粘度計を調達し,各種飲料のアルギン酸ナトリウム溶液の粘度とビーズのできやすさとの関係,および溶液の粘度の経時変化について測定を行った。その結果,粘度が高く,経時的に粘度が上昇していく飲料では良好なビーズができないという,定量的に解釈する元となるデータが得られた。現在作成中の化学教材実験集II~個別指導体験型実験~(CDデータ付)の出版は,2015年度に行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,研究成果を個別指導体験型の化学教材実験集として出版するのが最終目標である。「水あめづくり」の実験時間と方法を改善するため,再実践による検証が必要になり,補助事業期間延長承認申請をして承認された。 「水あめづくり」の実験を含む,化学教材実験集II~個別指導体験型実験~(CDデータ付)は内容が確定し,現在作成中である。2014年度中には出版できなかったが,実験集用のイラストの発注入手,およびCDに入れる生物発光パワーポイントの使用許可などの手続きも完了している。
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今後の研究の推進方策 |
「水あめづくり」の再実践は2015年7月11日(土)に実施する計画である。その結果を含め,最終目標である,化学教材実験集II~個別指導体験型実験~(CDデータ付)は愛知教育大学出版会からISBN付きで出版する予定である。 2015年度に採択された科研費,基盤研究(C)(一般)「理科が役に立つことを実感でき教員養成に有効な化学実験教材(含英語版)の開発と実践」においても,化学マジック実験の英語による演示法を開発・実践するとともに,主に身近な食品関係の個別指導体験型の実験法の開発・実践を継続することになっている。各種飲料のアルギン酸ナトリウム溶液の粘度と良好なビーズの生成との関係を,さらに調査するとともに,砂糖やデンプンを材料に,これらの食品の化学(べっこうあめ,カラメル,デンプンの糊化,老化など)に関係した実験を開発していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年12月25日に開発した「水あめ作り」化学教材実験の実践を行った。その結果を含め,化学教材実験集を出版する予定であったが,実験時間と方法を改善する必要があることが分かった。そこで計画を変更し,「水あめ作り」を改善し,再実践により検証することとしたため,未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
このため,「水あめ作り」の再実践による検証と,現在作成中の化学教材実験集II~個別指導体験型実験~(CDデータ付)の出版を,次年度に行うこととし,未使用額は,その経費に充てることとしたい。
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備考 |
2014年11月20日 中日新聞 朝刊愛知県内総合 19頁 「出前実験 理科は楽し 愛教大の学生ら 豊根・富山小中で化学授業」
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