研究課題/領域番号 |
24501098
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
廣木 義久 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80273746)
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研究分担者 |
裴 光雄 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60263357)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 科学作文 / 科学言語 / 論述能力 / 指導プログラム / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
中学生の科学作文に見られる誤りのパターンの解明を目的として,物理・化学・生物・地学の各分野における学習内容に関して中学生に科学作文を記述してもらい,その記述内容を分析した.これまでに,物理分野では浮力,レンズについて,化学分野ではイオン,溶解度,燃焼,水の状態変化について,地学分野では太陽の日周運動,岩石と地層に関するデータを収集し,太陽の日周運動について1つ,岩石と地層に関して4つの誤りのパターンが明らかになっている.本年度の分析では,浮力の記述について以下のような4つの誤りのパターンがあることが明らかとなった.1)物体の浮き沈みを物体の密度のみで説明しており媒質との密度の違いについて言及がないパターン.2)密度(比重)の違いを述べてはいるが密度の違いと物体の浮き沈みとの関係について言及がないパターン.3)物体の浮き沈みを重さや質量の違いによって説明しているパターン.4)物体の浮き沈みを圧力の違いによって説明しているパターン. また,本研究のもうひとつの目的である韓国における科学作文教育に関する調査・研究については,ソウル教育大学附属小学校との共同研究を進めている.当該年度においては相手校の事情によりデータの収集がかなわなかったが,当該小学校のキム教諭と共同研究の継続実施について再確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中学生の科学作文の誤りのパターン解明については,これまでに,太陽の日周運動に関する記述,岩石および地層に関する記述,浮力に関する記述の分析から合計9つの具体的な誤りのパターンが明らかとなっている.今後,その他の科学事項に関する記述の分析を進めることにより,さらなる誤りのパターンの事例を明らかにできるとともに,それらの事例を整理することにより,本研究の目的である中学生の科学作文の誤りのパターンについての一般化ができるものと考えている.また,韓国の科学作文教育に関する研究に関しては,当該年度においてデータの収集ができなかったものの,次年度に実施の見込みがたっている.以上の理由により,本研究は研究全体としておおむね順調に進展していると評価している.
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今後の研究の推進方策 |
中学生の科学作文に見られる誤りのパターンの解明に関しては,これまでに収集したデータのさらなる分析を進めるとともに,できるだけ定量的な議論ができるようにデータの再収集も平行して実施していく.そして,それらのデータの収集と分析の後,これまでに明らかとなった誤りの事例を整理することにより,誤りのパターンに関する一般化を行う予定である.また,韓国における科学作文教育の調査・研究に関しては,ソウル教育大学附属小学校における科学作文の授業のビデオ記録により授業分析を行うとともに,韓国の児童が書いた科学作文を分析することにより,授業の効果について評価を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の使用計画では韓国への調査旅費を予定していたが,韓国での共同研究実施校の事情により実地調査ができなかったことにより次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度生じた余剰額は,翌年度の韓国における実地調査旅費の一部として使用する予定である.
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