工学系化学分野の学部生・大学院生への創造性教育と、高校生の理科離れ・工学離れ対策の同時実現を目的として、高・大・院グループによる化学実験を院生から学部生、学部生から高校生への指導と協同作業で効率的に実施する仕組みを構築することを目標としている。 前年度までと同様に研究室に配属された4年生と大学院生が実験テーマの提案と実施方法を設計した。学部生の能力をさらに高めるために、前年度にTAを経験した学生によるテーマ設定や説明方法の準備を拡充させた。実施の手順や詳細な説明方法の準備を大学院生と学部生の縦割りグループで検討させた。過去に出張講義で連携実績のある徳島県立科学技術高校において、同高校1年生60名を対象に、高分子材料と環境問題に関連したテーマでの実験を行った。本研究課題の当初から参加しているTAが中心となって3年目となったことから、教員が不在でも高校生への十分な指導ができる状況にまで改善された。このことから、院生から学部生への指導を事前に行い、TAの指導能力を高めることで効率的かつ効果的に化学実験出張講義を実施できることが実証された。 アンケートによって、TAによる今後の実施方法や内容についての意見を集約し、改善のための考察を行った。これらの結果は効果的な教育法を検討するための有用なデータとなった。また、本研究で得られた成果を高校生への指導に還元するため、連携高校のスーパーサイエンスハイスクール運営指導委員会および県内のスーパーサイエンスハイスクール等の発表会に参加し、高校生の研究発表に対する助言および高校教員を含め助言指導を行った。 以上の成果は、大学教育に関する国内学会および工学教育に関する国際会議で口頭発表による報告を行った。また、それらの内容を総合的にまとめた英語論文を学術誌に投稿予定である。
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