研究課題/領域番号 |
24501105
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
平尾 健二 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (70301348)
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キーワード | 技術教育 / 生物育成 / 教材開発 / 食農教育 / 技術・家庭科技術分野 |
研究概要 |
以下の1,2について研究活動を行った. 1.【学校の現状とニーズに即した教材の開発】研究1年目(2012年度)に行った技術科担当教員を対象とした生物育成学習に関するアンケート調査から明らかとなった現状を受けて,2年目の本年度はその現状に即すとともに,豊かな実践をめざすいくつかの生物育成学習教材の開発を行った.また,小学校と中学校技術科の学習の継続性も重要と捉え,栽培・調理・ものづくりを融合した小学校向けの学習教材の開発も行った.以下にその成果を示す. (1)中学校技術科の生物育成学習教材 イネの栽培と家畜の飼育を両立させ持続可能な農業技術を学ぶことができる教材の開発をめざし,アイガモ農法の教材化に関する基礎実験を行い,学校規模の状況で行うノウハウについてまとめた.また,大規模校での授業を想定し,限られたスペースで安価にしっかりとした栽培を学ぶこともできる容器栽培教材をその栽培環境(日照,温度条件)との適合性も明らかにしながら開発した. (2)小学校の食農・ものづくり学習教材 地域に伝わる伝統料理に使われる食材ならびに木製の道具に注目し,食材となる作物の栽培(イネ)と道具製作(寿司の木枠),さらにそれを使った調理を教科横断的に小学生が学べる教材を開発した. 2.【フレームワーク構築のための人的ネットワークの形成と情報発信】昨年度(研究1年目)に設立した「農でつながる教育ネットワーク」の第2回目のセミナーを行った.生物育成学習に携わっている中学校技術科教員,小学校,高等学校(農業科)の教員,ならびに食育関係者等約30名が集まり,著名な農業技術者の講演並びに農場見学を交えながら,生物育成学習に関する情報の交換・交流を行った.また,活動内容や研究成果を全国的に発信するために,Webページ(http://agriedu.fukuoka-edu.ac.jp)を開設し,情報の公開を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度行った「中学校技術科における生物育成学習の実態調査」の結果をもとに,いくつかの中学校技術科向けの教材の開発を進めることができた.また,「小学校教科書における生物育成関連学習の調査」を念頭におき,小学校において教科横断的に学べる教材を提案することができた.さらに,それらの内容についてセミナーで報告するとともにWeb上でも公開を開始した.このような取り組みは有機的に教員間をつなぐフレームワーク構築の基礎づくりとして有効であったと判断される. 以上の理由から,本研究は2年目の成果として,おおむね順調に進展していると判断した
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き,以下の2点に関して,研究協力者の小・中学校等の現職教員や農業ジャーナリストに協力を仰ぐ研究体制を基盤として本研究計画を遂行する。 1.教員に研究結果を紹介するフレームワーク作り(3年目):小学校での生物育成学習と中学校技術科での生物育成学習のそれぞれの実践例を「実践実例集」としてまとめ, Webページで公開するためのデータを蓄積する。また,「農でつながる教育ネットワーク」において小学校教員と中学校技術科教員が生物育成に関して共通認識・理解をもつための各種セミナーを開催し,相互の意見交換を深め,その課題について明らかにする。セミナーについては,具体的には小中学校において共通的・協力的に実践できる教材や取り組み例を経験豊富な講師を招いたワークショップや,現場を見ながら論議を行う見学会を企画することとする。 2.小学校からの継続性をふまえた発展的な生物育成教材の開発(2年目):前年度の結果をもとにさらに教材の完成度を高めるとともに,新しい作物栽培の開発に着手する。特に教育現場でも注目される有機農法について,実践農家のノウハウを学校で実践可能な形にできるよう基礎実験を行う。また,農作業自体の教材化もテーマとし,農機具の活用を小型耕耘機までを含めた範囲で捉え,試行を行う。試行には研究協力者の大学院生・学生や中学校教員にも協力を依頼し,実施上の安全面での種々の検討が必要であると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度より行う予定であった農機具を用いた農作業の活用に関する教材化の試行については,実施が出来ずに耕耘機の購入に至らなかったため. 安価で初心者でも使用しやすく学校現場でも導入可能な農機具を購入して,その活用法についての教材化を進める.
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