以下の3点について研究活動を行った. 1.【栽培活動が子ども情意面に与える影響についての検証】本研究テーマの背景である,学校における農業教育の重要性に注目し,栽培活動が子どもの情意面に与える影響について小中学生を対象としたアンケート調査行い,解析したところ,幼少期からの栽培経験が重要であること,ならびに子ども記憶に残る学習となるために重要となる授業のあり方に関する知見が明らかとなった. 2.【学校の現状とニーズに即した教材の開発(3年目)】研究2年目(2013年度)から実施している教材開発については,さらに小学校と中学校の接続を考慮したものづくり材料としての栽培教材の開発を行い,バリエーションの拡大を図った.全研究期間においては,次のような教材を開発した.(1)アイガモ農法の教材化(中学校技術),(2)地域の伝統料理の道具づくりと食材づくりを融合した教材(小学校:理科~図工~家庭科),(3)お茶(玉露栽培)の教材化(中学校技術),(4)雑草による土づくりをベースとした有機農法の教材化(小学校・中学校技術),(5)大規模な中学校に対応した小型容器栽培教材の開発(中学校技術),(6)ものづくり材料としてのヒョウタンの教材化(小学校:理科~図工~音楽) 3.【フレームワーク構築のための人的ネットワークの形成と情報発信(4年目)】4年目となる「農でつながる教育ネットワーク」の活動として,第4回目のセミナーを11月に開催した.林業をテーマとし,実際にスギの間伐,木材の有効利用を考えるものとした.研究期間に開催した全4回のセミナーには,現職の小・中学校教員を始めとした教育関係者約120名が参加し,講習を受けるともに,生物育成学習について情報交換を行った.その実施を受け,福岡県の技術科教員の研究会と協働する勉強会が立ち上がり,本研究の成果を還元する対象の一つとすることができた.
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