研究課題/領域番号 |
24501108
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
元木 理寿 常磐大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10449324)
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研究分担者 |
野村 卓 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00507171)
萩原 豪 鹿児島大学, 学内共同利用施設等, その他 (00539207)
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キーワード | 沖永良部島 / 水資源 / ESD / 環境教育 |
研究概要 |
【当該研究の重要性】 本研究では,自然的制約のある島嶼部において水資源の保全やESDの手法を用いた地域づくりの「実践」の仕組みづくりを地域住民が一体となって行う事を追求することに独創性を見いだせる。また,島嶼部の水と生活の関わりについて再検討することは,地域に根ざしたESD展開と「仕組み」づくりの可能性を探る基礎的研究になると考える。さらには,日々の暮らしの中では水の利用方法が変化したことで,遠のいてしまった水とのふれ合い方を見直し,身近な水辺空間について考える機会にできると考えている。 【研究成果】 1)町誌や字誌などに記録されている130ヶ所の湧水・暗川(クラゴウ)のうち,これまでの調査で90ヶ所を確認(再整理)することができた。湧水地は,各集落(字)に位置していることから,それらの保全管理は集落によることが多く,現在も集落ごとに回数は異なるもの地域住民により草刈り,清掃活動がみられる。しかし,管理があいまいになっているところも増えている。集落の一部の人による限定的な管理も明らかになった。さらに,湧水地が港湾整備や土地整備事業などにより埋め立てられていたり,利用頻度が極端に少ない事から,湧水(あるいは湧水地)に対する意識の低下が確認された。 2)湧水地を活用したESDの実践(知名町立下平川小学校,和泊町立大城小学校,和泊小学校)はで,小学生に対してはおおむね効果的であったと考えられる。しかし,沖永良部島の小学校において湧水地を活用したESD実践を進めていく上では,児童用の資料を作成するよりも先に,教員用の指導資料に相当するものを作成していく必要がある事がみえてみた。今後,ほかの島嶼部おいて湧水地を活用したESDの実践することを踏まえ,地域学習の教材としていかに昇華させていくかが課題となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料に記載されている湧水・暗川(クラゴウ)の位置とそれらの利用の実態について,周辺住民に継続的に聞き取り調査を行っている。これらにより水利用の変化,水に対する意識の変化について明らかになってきた。また,25年度は小学校において湧水を用いたESD実践を進めることができた。 最終年度である26年度は水資源の把握の精度を高めるとともに,ESD・環境教育実践の振り返りをしつつ今後の継続に関して検討していく必要がある。 以上の理由から,当初の計画に沿っておおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2年間の調査を補完しつつ,島嶼部のESD展開に関する基礎的研究の最終的なまとめを行う。 1)沖永良部島における水資源の歴史的・地域的展開と今後の可能性について検討し,とりまとめを行う。沖永良部周辺の島々の水資源との比較が遅れているため,データ資料を整理していくとともに,ESD展開の可能性を検討していきたい。 2)水環境教育と地域文化については,沖永良部島の小学校において,環境教育の現状(教育現場での取り扱いの実態と授業に組み込む際の問題点)と課題について聞き取り調査を行ってきた。これらの小学校において実践教育を行ってきたものをとりまとめるとともに,今後の可能性を検討したい。 3)農法(水利用)の転換から見た主体形成については,最終年度も聞き取り調査を進め,水利用の視点からみた農法と農業従事者の意識について検討を進めていきたい。
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