研究課題/領域番号 |
24501110
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
難波 美帆 北海道大学, 創成研究機構, 特任准教授 (80422020)
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研究分担者 |
林 衛 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (60432118)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リスクコミュニケーション / 科学コミュニケーション / 科学リテラシー / 科学教育 / メディアリテラシー / コミュニケーションデザイン |
研究実績の概要 |
当該年度は、昨年度分析を試みたサイエンス・メディア・センターの発信情報についてのデータをもとに論文を執筆し、10月にイタリアで行われたナレッジマネジメントの学会においてポスター発表を行った。アジア、中東、ヨーロッパからの参加者が多く、ヨーロッパでの情報処理や科学情報の共有手法、リスクコミュニケーションなどについて、学会において多くのコメントや情報を得ることができた。またアジアからの参加者からは、共同研究の申し出をいただくことができた。 国内に落おいては、共同研究者とSTS学会やシンポジウムでの発表の機会を通じて、被災地域におけるより小さなコミュニティーでの情報共有、災害時の情報共有の検証について研究報告やディスカッションを行い、重要な知見を得られた。具体的には、インターネットからの情報は、マスメディアの情報に比べて、より個別的、個人的に活用されることが多く、有効性も高いことがわかってきた。被災地では、その地域で起きた災害の影響について、何が起きたのかを検証するために、震災から4年が経過した現在も、被災者自らが、情報の掘り起こしを行っている。これを助け、ともに起きた事象についての意味付与を行っているのは、マスメディアではなく、フリーランスのジャーナリストたちである。彼らの主な発信手段は、インターネット上のWebマガジンやツイッターなどである。大手メディアでは、個別の事象はちょっといい話というような取り上げ方が多いなか、よりパーソナルな視点で調べ、分析し、それを共有する手段として、パーソナルメディアとしてのソーシャルメディアやWebジャーナルが存在感を増している。 これらから、災害時に、インターネットを使った情報提供のあり方として、マスメディアとの違いとマスメディアや他の情報提供と違うアドバンテージが明らかになってきており、これを分類し、具体的な提案を示すことに繋がりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度からの遅れが影響している。また、昨年度と同様に業務エフォートの改善などが当該年度内には行われず、当初計画通りの実施が環境的に難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度行えなかった欧州の国際学会での発表など、遅れていた部分を1年遅れたが取り戻しすことができており、また、今年度職場を移動し、研究環境を改善することができたので、当該年度の遅れについて今年度取り戻す。 昨年度計画した生体反応の測定を活用した、情報受信者側の受容状況の計測であるが、計測機器を使わせていただける場所が北海道から離れており、機器の購入も考えたが難しいため、再度計画を調整し、当該年度中に得られた重要な知見である、マスメディアの補完要素としてのネットメディアからの情報提供の役割ついてより研究を掘り下げる。 また、コミュニティーでの情報の活用、意思決定に資する情報共有のあり方に視点を広げ、専門的な知識をどう提供することが、リスク時においてコミュニティーでの最適な選択を助けることになるかを検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、当初使用予定額に加えて一昨年度職場の移動に伴い、研究進捗に遅れた出ている部分についての未使用額がある。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度は一昨年の遅れを取り戻しつつあるが、完全に取り戻すことはできなかった。研究について計画を修正した部分を再度修正し、現状で分析しやすい調査を北海道内で行うことにより遅れている部分の研究を前進させる。また、職場を再度移動し、研究計画を改善することができたので、研究の進捗については大幅な改善を見込め、当初計画を達成できる。
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