糸状の群体を形成する接合藻のアオミドロ属は淡水域に幅広く分布している。アオミドロは異なる2つの群体が接合する有性生殖を行い、その接合過程は性の分化の始まりを考えさせる科学教材として有用である。しかしながら、本属の分類形質でもある接合を誘発する要因の探索は困難であり、本属に関する優れた生態学的研究の多くは種が不明なままに行われてきた。本研究では、数種のアオミドロを対象として、野外個体群の増殖、生殖、衰退の過程を詳細に記録することに成功した。その結果、これまで室内培養株を用いた研究で主要な要因と思われていた窒素欠乏よりも、水温、光環境といった気象要因の季節変化が重要であることが示唆された。
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