研究課題/領域番号 |
24501116
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研究機関 | 南九州大学 |
研究代表者 |
遠藤 晃 南九州大学, 人間発達学部, 准教授 (40586525)
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キーワード | 環境教育 / 地域の自然 / 科学的リテラシー / 総合的な学習の時間 / 小学校 |
研究概要 |
目的1「小規模校における環境教育事例の検証とプログラム開発・実践」に関して、沖縄県座間味村立慶留間小学校および阿嘉小学校において、ケラマジカなど地域の自然を題材として探求する環境教育の授業を年間を通して総合的な学習の時間に実践し、児童への教育効果と教員の指導方法に関して調査を行った。その結果、探求学習が教師主体に陥ることで児童主体の課題解決学習にならないことが示唆されるような事例が観察された。また、フランス・ブルターニュ地方の教育ファーム及び博物館、メディアテック(図書館)、市役所、野鳥公園等を訪問し、児童向け環境教育の取組みについて予備調査を実施した。その結果、教育実践において知識教授ではなく、児童の興味・関心を引き出し発展させる指導者の在り方に共通する姿勢が見られることがわかった。これらのことは、今後のプログラム開発に重要な示唆を与えるものである。 目的2「環境教育プログラムの適用・検証と標準化」に関して、上述の沖縄の二つの小学校とは環境の異なる宮崎県内の二つの小学校(宮崎県の御池小学校および丸野小学校)において、地域の自然を題材として探求する環境教育の授業に取り組んだ。丸野小学校では4年生の総合学習で初めて年間を通した授業実践を行い、児童の学びの変化を1年間継続して追跡することができた。その結果、1年間の児童の成長段階に併せた指導者の働きかけが重要であり、各教科・各単元や学習指導要領と連動した環境教育の年間計画が求められる事が明らかになってきた。 目的3「教員の環境教育に関する資質向上」に関して、昨年に引き続き「環境教育概論」の受講者に環境教育について自由に記載させた。その結果、環境教育に関して「自然保護」という認識が強いことがわかった。環境教育の資質向上には「総合的な学習の時間」の指導技術の向上が求められることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的1「小規模校における環境教育事例の検証とプログラム開発・実践」に関して、慶留間小学校および阿嘉小学校における実践を継続し、児童主体の課題解決学習のプログラムに必要な要素が確認された。また、フランスの環境教育の予備調査からも、同様に、教育実践において知識教授ではなく、児童の興味・関心を引き出し発展させる指導者の在り方に共通する要素を見出すことができ、当初の目的を達成できた。 目的2「環境教育プログラムの適用・検証と標準化」に関して、宮崎県の御池小学校の適用を計画通り実施できた。また、丸野小学校では年間を通した授業実践を行うことができ、想定以上に進展することができた。 目的3「教員の環境教育に関する資質向上」に関して、学校教育の中での環境教育の位置付けが明確でないことが明らかになり、当初の目的を達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
目的1「小規模校における環境教育事例の検証とプログラム開発・実践」に関して、慶留間小学校および阿嘉小学校における実践を継続するとともに、授業に携わった教員へのインタビューを行い、環境教育の評価を行うとともに、フランス・ブルターニュにおける地域素材を題材とした環境教育実践事例を収集し、プログラム開発の基礎資料を得る。 目的2「環境教育プログラムの適用・検証と標準化」に関して、宮崎県の御池小学校および丸野小学校で年間を通した授業実践を実施し、児童の学びのプロセスを明らかにする。 目的3「教員の環境教育に関する資質向上」に関して、現職教員および教員志望者の環境教育に関する意識についてインタビューによってデータを収集する。 以上の実践・調査により、得られた資料を基にして、環境教育プログラムの開発と検証、改善をくり返しながらその標準化を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後、調査対象校の増加に伴い旅費等が必要となり、蓄積したデータ処理に係る人件費・謝金等が必要となるため、平成25年度の一部を平成26年度に使用する。 蓄積したデータの処理のための人件費および対象とする小学校が増えたことで調査研究に必要な物品費および旅費として使用する。使用計画は下記の通りである。 物品費:200,000円、旅費:600,000円、人件費・謝金:250,000円、その他:144,579円、計1,194,579円
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