研究課題/領域番号 |
24501118
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | サレジオ工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山下 健一郎 サレジオ工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10450131)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 科学教育 / 環境教育 / 再生可能エネルギー |
研究概要 |
本研究はブロック式の教育用実験発電システムを開発し,これを用いた再生可能エネルギー教育について,その学習効果を検討するものである。同教育の目的は再生可能エネルギーに対する関心・興味・技術等を同時に養うことである。 先ずは現状の再生可能エネルギー教育について調査を行った。その結果,同教育を受けた学生の中には,再生可能エネルギーを問題視するものも現れており,より現実的な視点から同エネルギーについて考察できるようになっていることが推測でき,教育の効果の表れていることがわかる。また,比較的簡単な内容に設定した実験実習を難しいと考える学生の多いこと,難しいと回答した学生については同教育効果の低いことなどが明らかとなった。これを改善し,より高い教育効果を得る為,申請時の計画では,実験実習を前半と後半の2つに分けて実施する予定であったが,これをA,B,Cの3段階に分けて行うこととした。A及びCは申請時の計画通りとし,それぞれ「風力発電装置の特性試験」,「風力・太陽光ハイブリッド発電装置の動作実験」というタイトルの実験実習を実施することとした。これに難易度がAとCの中間となる「風力発電装置の最大電力追従制御試験」を加え,これを実験実習Bとした。なお,これらの教育法,効果,改善法についてまとめたものを日本工学教育協会の年次大会で発表している。 教材製作については以下のとおりである。先ずは申請時の計画通り,コンバータブロックの製作を行った。次いで,実験実習Cで必要となる太陽電池ブロックの製作を来年度に実施することとし,新たに加えた実験実習Bで必要となる風車の自動制御ブロックの製作を行った。製作したブロック式の教育用発電システムを用いて,高専3年生及び4年生を対象にそれぞれ実験実習A,Bを実施した。また,これらの教育に関する学習効果を得る為,再度アンケート調査を行い,本教育の有効性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究における再生可能エネルギー教育とはエネルギーに対する関心・興味・技術等を同時に養うことを目的としている。同研究では提案する教育法の効果について種々な検討を行い,より効果のある教育法を作り上げることを最終目標としている。本研究に対する本年度の目標は,既に実施している従来方式の再生可能エネルギー教育についての問題点を明確にし,同問題の改善を行うとともに,ブロック式の教育用実験発電システムの教材としての効果について検討することである。 先ずは従来方式の再生可能エネルギー教育の問題点のピックアップについてであるが,対象となる学生のアンケート調査により,これを明確にすることができた。その結果,学生のレベルと教育内容や教材のレベルのマッチングが重要であると明らかになったので,申請時に予定としていた2つの実験実習(申請時には前半後半と表記)だけでなく,3つの実験実習(A,B,Cと呼ぶこととする)を学習レベルに合わせて行うこととした。また,これに合わせて教材製作を行い,コンバータブロックと自動制御ブロックを製作した。申請時の計画ではコンバータブロックと太陽電池ブロックを製作する予定であったが,より高い教育効果を得る為の改善策として,自動制御ブロックを新たに製作し,難易度の高い実験で使用する太陽電池ブロックを来年度に製作することとした。こうして完成したブロック式の教育用実験発電システムを実際に用いて,高専3年生と4年生を対象に実験実習を実施した。また同教材の評価や教育そのものの学習効果を知るため,教育を受けた学生を対象にアンケート調査を行った。その結果,製作した教材の有効であること,同教育の目的である学生の再生可能エネルギーに対する関心や興味を伸ばせていることなどが判明した。しかしながら,満足度の低い学生もいる為,これを改善することが課題として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,より教育効果を得る改善策として,申請時に計画していた2つの実験内容だけでなく,実験を新たに1つ追加することを提案し,それを実施した(それぞれをA,B,Cとする)。新たに実験が増えたことにより,教材も増えたため,本年度は物品費がやや多くなったが,旅費を削減することができたため,おおむね計画通り研究を遂行できた。 平成23年度には本再生可能エネルギー教育のプロトタイプとなる実験実習Aを実施しており,平成24年度はブロック式教材を用いることにより改善された実験実習A(改善)並びに実験実習Bを実施した(本実験実習は申請時の計画にはないものである)。これをうけ,来年度(平成25年度)は実験実習A(改善),実験実習B(改善)及び実験実習Cを実施する予定である。これら実験実習の改善には対象学生のアンケート結果を用いることとし,より効果の高い教育法を常に模索することとする。平成26年度はその最終段階として,実験実習A(改善),実験実習B(改善)及び実験実習C(改善)を実施し,本教育法の効果についてまとめる予定である。また,完成した教材を近隣住民に公開し,再生可能エネルギーについて簡単な講義を行う予定である。 教育内容(実験実習の内容)の変更に伴い,教材製作に関する計画も変更する必要があるが,同教材の製作は卒業研究の一環として実施しており,十分に達成できるものと考える。教材は以下の予定で製作する。平成25年度は太陽電池ブロックの製作と蓄電ブロックの製作を行うこととする。平成26年度はインバータブロックを製作し,系統連携を想定した実験を実施可能とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が零でない理由としては,予定していた学会発表が本年度は都内で行われたため,旅費が安く済んだこと等が挙げられる。また,その使用計画としては,平成25年度に参加予定の学会以外にも参加・発表することとし,同発表に関する旅費として使用する予定である。
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