本研究は様々な組み合わせで利用することのできる「ブロック式の教育用実験発電システム」を開発し,同システムを利用した再生可能エネルギー教育の学習効果について検討するものである。なお,同教育の目的は学生の再生可能エネルギーに対する関心・興味・技術等を同時に養うことであり,将来の日本のエネルギーを支える技術者や科学者の育成に役立つものであると考える。 昨年までの研究成果として,本教育により,学生の再生可能エネルギーに対する関心,興味が向上すること,同エネルギーを単なる夢のエネルギーとしてでは無く,現実的な視点から考えることができるようになる等の教育効果のあることが判明した。また,実験で使用する「ブロック式の教育用実験発電システム」はその組み合わせにより,様々な構成で利用することができる為,教育において重要となる「学習レベルのマッチング」の調整に有効であることなどが明らかとなった。最終年度ではこれらに加え,実験内容を3つに分け,難易度を徐々に上げていく,段階教育の効果,同教育を全て受けた学生の意識変化の推移,同教育を全く受けていない学生との比較,再生可能エネルギーをテーマとした卒業研究に対する同教育の効果について検討するとともに,近隣住民に対する再生可能エネルギー教育(実験を含んだ講演)の効果についても考察した。これらの結果,教育内容を段階的にあげていくことによって,教育効果が高まること,本教育を受ける前と受けた後では,意識そのものに変化が表れること,全く教育を受けていない同年代と比べると,再生可能エネルギーに対する興味が強くなることなどが分かった。また,再生可能エネルギーをテーマとした卒業研究を行った学生については,意欲が高く,研究に着手する時期が早まるなどの効果が表れた。さらに,近隣住民に対する公開については,啓発活動のひとつとして非常に効果の高いものであることが判明した。
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