本研究では,安全技術と特許マインドを身に付けた技術者を育成するために,以前に開発した商品改良演習(世の中に流通している安全配慮に欠けた商品に対して,学生がグループ単位でリスクアセスメントを実施して,商品の安全性を高めるもの)に(1)特許教育,(2)特許考案の支援,(3)特許出願のアドバイスの3項目を組み込んだ新しい演習プログラムを構築した. (1)特許教育:演習の冒頭で学生に特許権や特許制度等の基礎的な知識を習得させ,さらに特許創出のプロセスや取得のための申請方法等を理解させる授業を開発した. (2)特許考案の支援:学生は考案した発明(商品改良案)が効率的に具現化されるように,3次元CADソフトウェアおよび3次元プリンタから構成される試作支援システムを導入した.CADソフトウェアについては,学生が短時間で使用方法を習得できるように,使用マニュアルと設計例題集を作成・導入した. (3)特許出願のアドバイス:特許出願用書類については学生の労力と時間的な制約を考慮し,「パテントコンテスト」で用いられている発明提出書を採用した.さらに,学生が教員や(特許権取得に豊富な経験を持つ)外部講師のアドバイスを受けながら書類を仕上げる体制を整えた. 以上の項目を組み込んだ演習を本校専攻科機械・電子システム工学専攻の学生6名に対して試行した.担当教員と外部講師が連携しながら,特許教育,特許考案の支援,特許出願のアドバイス等の項目を効率的に実施した結果,幾つかのユニークな発明が考案された.また,アンケートを通して学生から良好な評価を得たことが確認できた.
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