研究課題/領域番号 |
24501121
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
吉野 巌 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60312328)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | メタ認知 / 算数指導法 / 文章題 / 介入授業 |
研究実績の概要 |
メタ認知的支援を伴う算数指導法を考案し、公立小学校5年生の算数授業において介入実験授業を行った。この指導法は、オリエンテーション授業と4回の介入授業において、メタ認知=「頭の中の先生」を意識づけるための様々な方法を盛り込んだものである。 オリエンテーション授業。①メタ認知の類推的説明:教育実習経験のある大学生2名が漫才の実演を行い,「ボケ」が自分で「ツッコミ」が頭の中の先生であることを類推的に説明した。②メタ認知的思考法のモデルの提示:モデル(大学生)が実際の算数文章題を発話思考しながら解く様子のビデオを作成し提示した。③「頭の中の先生」プリントの配布:算数の問題を解くときに必要なメタ認知的思考の例をまとめたもの。 介入授業:ノートに頭の中の先生の言葉を書く欄を設けさせ,例題を解きながら頭の中の先生の言葉を書く訓練を行った(ノート指導)。問題の解決中は,授業者に加え,クラス担任,大学生・大学院生数名がメタ認知的思考を促す机間指導を行った。また,毎回の介入授業後にノートを回収し,授業者が評価コメントを書いて返却した。 効果の検証。2クラス(先行群,後続群)に対して、介入授業の時期をずらすことで効果を検証した。事前調査→先行群の介入授業→中間調査→後続群の介入授業→事後調査の順で行った。事前・中間・事後調査課題は、既習「単位量あたり」の文章題で,立式や解答などを問題解決得点として得点化すると共に,解決中の思考を吹き出しに答えさせ、メタ認知得点として分析した。分析の結果、メタ認知得点は、各群ともに介入授業の直後の調査において有意に上昇しており、介入授業による効果が認められた。一方で、問題解決得点に関しては、後続群は介入授業後の有意な上昇が認められたが、先行群は明確な効果が認められなかった。調査用問題の内容や形式がこれらの結果に影響を与えた可能性が考えられるため、今後改善していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力者である小学校教員が平成25年度に異動となり異動先で教頭になってしまった関係で、平成25年度は計画していた調査を行うことができなかった。しかし、平成26年度は介入授業を行う環境が整ったため、当初平成25年度に行う予定だった介入授業を実施しすることができ、考案した算数指導法の効果を示す意義深い結果を得ることができた。しかしながら、当初計画から1年遅れている状況には変わりがない。 目的1「算数領域のメタ認知能力を測定する手法の開発」 平成24年度に作成した質問紙調査が実際の問題解決時のメタ認知を反映させることができていないため、問題解決中の思考を吹き出しに記述させ、これを客観的な基準に従って得点化するやり方に変更した。しかし、この方法は現場の教員がすぐに使える方法とは言いにくいため、より理解しやすく簡単な基準を作成する必要がある。 目的2「メタ認知的支援を伴う算数指導法の改良」については、メタ認知を意識づけする方策(メタ認知の類推的説明、モデルの提示、「頭の中の先生」の使い方の練習)を取り入れた授業に一定の効果が認められたものの、実際の問題解決へのつながりが不明確であり、授業の内容をさらに検討していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者である小学校教員が平成27年度にまた異動になってしまった関係で、厳しい状況にあるものの、昨年度の研究協力校と今後打ち合わせを行い、昨年度介入授業を実施した児童に対して追加のメタ認知的指導とその効果の検証を行う予定である。また、研究協力者の異動先小学校においても、新たに介入授業を行うべく準備を行っている。 昨年度介入授業を実施した児童に対する追加のメタ認知的指導においては、メタ認知的思考が効果的に問題解決につながるようなノート指導の方法を考案する予定である。児童が「頭の中の先生」記述欄に書いたことを図の作成・立式などに結びつけること、立式や筆算結果が正しいかどうか理由を伴って記述すること、などをいかに効果的に指導するか検討したい。 新しい小学校での実践授業は今年度後期を予定している。内容などは昨年とほぼ同じとするが、調査用問題の改良、授業内容の改善などの準備を平成27年前期中に策定する。また、調査用問題におけるメタ認知得点の得点化方法の簡便化についても検討する。その上で、改良した指導法に基づく算数介入授業を、平成27年度の10-12月の3ヶ月間にわたって、実験協力校の小学校5年生を対象に行う。介入授業の事前調査、事後調査、遅延調査において算数文章題解決力とメタ認知能力を測定し、介入授業の効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者である小学校教員が平成25年度に異動となり異動先で教頭になってしまった関係で、平成25年度は計画していた調査を行うことができなかった。この時に生じた研究の遅れが未使用額の発生につながっている。また、平成26年度は介入授業を実施することができたが、授業の一環として学生との共同研究で行ったことで、データの入力のための人件費が少なくすんだこともある。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究では、児童のワークシートへの記述・回答を収集し分析することが中心であり、そのデータ化のための補助設備や人員が必要である。補助設備として、パソコン、ビデオ、データ解析ソフトは購入したので、より周辺的なソフトや記録媒体等を購入する予定である。また、ワークシートへの記述をテキストデータとして入力するための補助人員として学生をアルバイトとして雇用したいと考えている。本年度は小学校2校で研究を行う予定であるためにデータ量は膨大であり、1日約6時間として1人×50日分の謝金を計上した。また、学会発表(国内)についても、2回(研究成果発表、資料収集)ほど予定している。
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