研究課題/領域番号 |
24501123
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
本多 薫 山形大学, 人文学部, 教授 (90312719)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 学習者 / 負担 / 生理指標 |
研究概要 |
本研究の目的は、学習者の生体情報(筋電図、心電図など)を計測し、学習支援システムによる長時間の学習が、生体に与える影響(負担)を明らかにするとともに、生体情報の経時変化から算出した適切な学習時間とそれに必要な休憩時間を提案することである。平成24年度は、1.学習支援システムの構築、2.生体情報の処理に関する検討、3.研究成果の公表、を行う計画であった。 1.「学習支援システムの構築」学習内容をモデル化し、計算課題、読む課題、照合課題を提示できるとともに、学習条件を自由に設定できる実験用システムを構築した。 2.「生体情報の処理に関する検討」実験を2回実施し、課題作業時の学習者の生体情報(筋電図、心電図)を測定した。第1実験では、50分間連続で計算課題を行わせ、実験方法や学習時間、生体情報の分析方法の課題や問題点を洗い出した。第1実験の結果を踏まえ、第2実験を計画し実施した。第2実験では、60分間連続で計算課題、読む課題、照合課題の3種類を提示し、課題作業時の学習者の生体情報(筋電図、心電図)を測定した。その結果、心電図(心拍のR-R間隔)データの分析では、ウェーブレット変換によるパワースペクトル解析で短時間の周波数やパワーの変化を分析することが有効であることが確認できた。しかし、筋電図データの分析では、短時間の周波数やパワーを分析することよりも、1分間隔程度の周波数やパワーを見ることで、学習者に与える影響(負担)の経時変化を捉えられる可能性を明らかにした。 3.「研究成果の公表」研究成果の一部を日本教育工学会第28回全国大会(長崎大学)において、発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画で掲げた①学習支援システムの構築、②生体情報の処理に関する検討、③研究成果の公表の3課題は、おおむね順調に進んでいる。学習支援システムの構築では、学習内容をモデル化し、計算課題、読む課題、照合課題を提示できるとともに、学習条件を自由に設定できる実験用システムを設計・作成した。生体情報の処理に関する検討では、2回実験を実施し、学習者の生体情報(筋電図、心電図)を測定するとともに、生体情報の分析手法を検討した。なお、研究計画で挙げている脳波については、平成25年度に実施する予定である。研究成果の公表では、学会の全国大会で発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度に学習内容をモデル化し、計算課題、読む課題、照合課題を提示できるとともに、学習条件を自由に設定できる学習支援システム(実験用)を構築した。この学習支援システムにより、学習を行った際の生体情報を測定する。実験の方法としては、各学習条件を変化させた場合の筋電図、心電図および脳波の測定を行う。また、従来からの評価方法である質問用紙法(アンケート調査)も併せて実施する。測定した生体信号は、パワースペクトル解析を主に実施して、時間変化を詳細に検討し、学習時の生体に与える負担を抽出する。計測した筋電図、心電図および脳波について、どの生理指標が学習支援システム(学習者の生体負担)の評価に適しているかを比較検討する。必要に応じて、追加の実験を行う。 実施した学習支援システムによる学習時の各生理指標の測定結果と考察についての研究成果を、学会の全国大会等で発表する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
実験用の電極、データ記録用メモリーカードとして、消耗品費15万円、学会発表(成果報告)として、旅費7万円、実験の補助およびデータ処理などの研究補助として、人件費・謝金25万円(時給1000円×250時間)、学会参加費、複写費等として、その他3万円を使用する予定である。
|