研究課題
これまで研究代表者は、盲ろう者・聴覚障害者の歌唱支援を目的として触覚フィードバックによる音声ピッチ呈示システムを開発し、その有効性を確認してきた。これらの従来研究により本システムの有効性は確認されたが、本システムの訓練方法の策定という課題が残されていた。本研究課題では、本システムを用いた訓練方法の確立と触覚フィードバックによる音声ピッチ制御の機序の解明を目的として研究をおこなった。本研究で開発した触覚ディスプレイ上の振動位置で音程を呈示する音声ピッチ呈示システムを用いて評価をおこなった結果、盲ろう被験者は本システムにより成人健聴者あるいは健聴幼児と同程度の正確さをもって歌唱が可能であることが示された。また、メロディ変化が継時的な曲(かえるの合唱)とメロディ変化が継時的でない曲(チューリップ)で歌唱の正確性を評価したところ、大きな違いはなかったが、その要因が喉頭筋群の制御に起因する固有感覚フィードバックであることが確認された。また、本システムを用いて音声ピッチ制御の訓練をおこなうことにより、失われた喉頭筋群の制御(固有感覚)と音程との対応が再度構築されるという機序により、非継時的なメロディの曲であってもピッチの正確性が低下しないことがわかった。以上のことから、固有感覚フィードバックにより筋感覚と音程との対応を強化し、その能力を評価する訓練方法が重要であることが明らかとなった。本研究課題の結果、このように触覚フィードバックによる音声ピッチ制御の機序が明らかになり、その機序に基づく歌唱の正確性のデータを指標として訓練する方法が確立された。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
Proceedings of the 2014 IEEE Symposium on Computational Intelligence in Robotic Rehabilitation and Assistive Technologies
巻: なし ページ: 31-35
10.1109/CIRAT.2014.7009738