研究課題/領域番号 |
24501127
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
古田 貴久 群馬大学, 教育学部, 准教授 (60261822)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 計測と制御 / プログラミング / 中学校・技術 |
研究実績の概要 |
今年度は、主に作業時間の確保のための授業各回の指導内容や教材ハードウェアの改良と、授業の効果測定のための事前・事後アンケートの開発を行った。 全体的な授業計画は、昨年度と基本的に同じだが、今年度は、情報処理の流れを明確にし、フローチャート化する過程の指導の工夫として、例題数を増やして扱う内容を多様化し、また、フローチャートの図記号を1つずつあらかじめ印刷したシールを配布して、そこに書き込ませてノートに貼らせることで、処理の流れを考える時間を確保するようにした。 教材のハードウェア上の主な改良点としては、今年度は全機能を1枚の基板に収めて、生徒が準備に要する時間を短縮し、作業時間をより確保した。また、コンピュータセキュリティが強化されている中学校でも本教材を使用可能にするため、教材のUSBインタフェースをHIDデバイスに設計変更した。 授業の効果測定としては、Knezek & Christensen (1997)のComputer Attitude Questionnaire (CAQ)からコンピュータ不安や問題解決に対する意識調査項目、理科・数学や技術(STEM)及びITに関する興味関心を問う項目、および、生徒自身の性格に関する質問項目からなる、全82項目のアンケートを作成し、本単元(「計測と制御」)の授業前と終了後とに実施した。その結果、項目「プログラミングは面白そうだ」に肯定的に答えた生徒数が、授業後で有意に増加していた。また、項目「情報について、もっと詳しい内容を勉強したい」に対しても肯定的に回答した生徒の数が、授業後で有意に増加した。一方で、生徒たちは、「ITは今後ますます重要であるが、自分はIT関係の職業に就きたいとは思わない」と考えていることが、先行研究同様、確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教材ハードウェアの改良が進み、故障・トラブルが激減したこと、プログラミング指導はまだ改良の余地があること、および、効果測定の方法としてアンケートを新規導入し、その主要な結果が先行研究と一致したこと。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、プログラミングのカリキュラムを修正し、特にループ(繰り返し)の指導を改良する予定である。アンケートに関しては、今年度の調査結果をもとに再構成して項目数を減らすこと、アンケートの結果に対して要因分析を行い、プログラミングや情報に対する興味・関心を高める因子を推定すること、および、アンケートの外的妥当性(基準連関妥当性)の検討を行う予定である。また、CAQの日本語化の過程において、翻訳上の問題、例えば、英語の「computer」と日本語の「コンピュータ」のニュアンスやイメージが、二国語間で一致していない可能性が浮かび上がった。そのため、生徒が回答時に混乱している可能性があるので、この点についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の事務担当者が、2000円にも満たない金額なので、来年度に繰り越しても支障がないと判断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究で必要になった消耗品を購入する。
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