本研究の目的は、中学校・技術の「計測と制御」の教材とカリキュラムを開発し、その実施を通じて、生徒のプログラミングや情報に関する意識・関心の構造を明らかにし、学習指導上の示唆を得ることであった。 計測と制御のハードウェア教材として、本研究では、パソコンとの間で、プラレールのレールに埋め込まれた光センサで検知した車両の位置情報と、車両に対する前進や停止の指示をやりとりするインタフェースを開発した。 生徒は、7時間展開の授業で、まず、計測と制御の基本的な仕組みについて学んだあと、簡単なゲームのプログラムの作成と改造を通じて、プログラミングの基本(順次・反復・判断)について学んだ。その後、生徒は、プロジェクト型学習スタイルで、自分の考えた走行パターンに従った動き方をさせるプログラムを作成し、改良していった。 本研究では、授業の最初の時間と最後の時間に、コンピュータや情報に対する意識を、質問紙で尋ねた。そして、因子分析・重回帰分析によって、意識構造およびその変化を、性別および成績データと関連づけて調べた。 本教材の教育効果については、効果量(Cohenのd)により、有意な効果があることが確認された。因子分析の結果、「コンピュータへの関心」、「学習習慣(粘り強く学ぶ)」、「理工系(STEM」への関心」、「自己有能感」、および「プライド」の5因子が抽出された。性別との関係では、男女ともに、「学習習慣」が積極的な生徒ほど、学習成績が高かった。「コンピュータへの関心」と「プライド」で、性別に関して対照的な結果が得られた。これらの結果は、情報教育において男子と女子に対する指導法上の工夫に示唆を与える。
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