研究課題/領域番号 |
24501130
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
室田 真男 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (30222342)
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キーワード | プレゼンテーションソフトウェア / 携帯型端末 / 質疑主導型授業 / オーディエンスレスポンスシステム / レスポンスアナライザ |
研究概要 |
昨年度開発した携帯型端末と連携することによりプレゼンテーションツールを高機能化するソフトウェアを用い,更にインタラクティブ性が高い授業展開をするための新たな機能開発を行った.開発した機能は,生徒・学生が一人1台のネットワーク接続された端末を有する環境において質疑主導型の授業を進めていくことができるオーディエンスレスポンスシステムである.本システムは,昨年開発したプレゼンテーションツールのアドオンソフトウェアに機能拡張する形で実装し,パワーポイント一体型のオーディエンスレスポンスシステムを実現した.本システムにより,パワーポイントスライド上に生徒・学生からのレスポンスを,即時グラフに表示することができ,よりインタラクティブ性の高い授業が可能となる.また,生徒・学生からの質問や意見を,説明スライド毎に教師に送る機能も拡張し,教師が生徒・学生の理解度をより効果的に理解することが可能となった.システムの実装後,性能評価ならびにユーザビリティ評価を行った.性能評価は,全ての機能をパワーポイント組み込み型で実装したため,何人程度の講義においてストレスなく利用できるかどうかを検証することを目的とした.ユーザビリティ評価は,開発した機能の使いやすさや効果を検証することを目的とした.性能評価については,40人程度の同時接続環境になるとレスポンス速度が遅くなり,実際の授業で使うためには,改善が必要であるという結果となった.ユーザビリティ評価については,レスポンスが遅いことに対しての評価が低く改良が必要である.主要な機能については,好評価が得られた.実装の改善ポイントを検討したところ,画像データの送り方を工夫することにより性能改善が見込まれることがわかった.次年度で改良する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ソフトウェアの実装は順調に進み,評価まで行なうことができたので,実装に関してはおおむね順調に進展していると言うことができる.しかしながら,ソフトウェアを公開し,現場で利用するという点に関しては,性能評価の結果から現状では改善が必要であることが判明し,来年度に設計の見直して実装し直すことが必要となった.その部分での遅れは避けられず,やや遅れているという判断をした.
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今後の研究の推進方策 |
性能改善ポイントを検討した結果,2つの改善方策を検討している.最初の改善方策は現状の実装を活かしつつ行う改善である.パワーポイントに実装したサーバとクライアント間の不要な通信を押さえること,送付する画面サイズや解像度を下げることにより対応する予定である.もう一つの対策は,設計方針を見直す改善であり,性能向上の効果はこちらの方が見込める.ただし,現場の先生がすぐに使えるというコンセプトを崩さずにどこまで実装できるかはプロトタイプ実装しながらの検証が必要.どちらも実行する価値はあるので,今後は両者の改善を進めていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由は,実際の授業による実施演習を広範囲に行うことができなかった事による.ユーザビリティ評価実験のための模擬授業は実施したが,その規模は当初の計画と比較して小さかったことが原因である. 実装の改良計画はできているので,次年度のできるだけ早い時期に実装・テストを行い,授業での実施および評価を進めていく.
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