研究課題/領域番号 |
24501146
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
青木 久美子 放送大学, 教養学部, 教授 (90392290)
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研究分担者 |
中平 勝子 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (80339621)
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キーワード | ジェネリックスキル / ICT活用教育 |
研究概要 |
本研究においては、近年大学教育の分野で議論され始めているジェネリックスキルについて、海外の先進的な大学において、それが学習アウトカムとしてどのように定義され、特に、情報通信技術(ICT)を活用した遠隔教育やブレンデッドラーニングを行う中で、そういったジェネリックスキルの育成が、どのような形でカリキュラムや授業に組込まれており、そのためにどのようなシステムやツールが活用されているのかを調査し、今後、日本の大学や学部においてジェネリックスキルを育成していく方針や戦略・方法を考えるにあたって、参考とできるような資料を作成することにある。「ジェネリックスキル」に関しては、平成24年度OECDのAHELO、EUのEuropean framework for key competences for lifelong learningやTuning Project、英国のKey Skills Qualifications、米国のDegree Qualifications ProfileやThe Secretary's Commission on Achieving Necessary Skills, SCANS、それに21st Century Skillsに関する情報収集を行ったが、平成25年度はそれに加えてシンガポールとマレーシアといったアジア諸国における取組も文献調査し、国際会議における情報収集を行った。各国におけるジェネリックスキルの共通項目としては、コミュニケーション能力、批判的思考力、問題解決能力、チームワーク、生涯学習能力、情報管理、倫理、自律性、リーダーシップなどがあることが分かった。また、平成25年度においては特に、この「ジェネリックスキル」そのものが教育できるものなのかどうかといった根本的な議論についても考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度達成目標に関しては、(1) 平成24年度に新しく公開された「ジェネリックスキル」に関する報告書や論文があれば、それを入手する。(2) 前年度のマッピングに修正点があれば、修正を加える。また、前年度に選定した先進的な実践事例に新たに追加情報があるか、インターネット上で情報収集を行う。 (3) 各取組の責任者に連絡を取り、ネット等で情報収集した上で、訪問調査を依頼し、実際にその責任者、又は関係者に会い、対面インタビューによる更なる情報を収集する。情報収集あたっては、組織体制、カリキュラム、ラーニングデザイン、活用されているシステムやツール、評価基準や方法、の各側面において、まとめられるようにする。 (4) (3)で収集した情報を実践事例として体系的にまとめる。その後、(3)~(4)を繰り返し、欧州と豪州、およびその他の地域においても特記すべきと考えられる実践事例をまとめる。 (5) (2)でマッピングしたジェネリックスキルの分類に実践事例を対応させ、特定のジェネリックスキルの育成に関して、どのような取組がどのような形でなされているのかを対応させるようにして、「ジェネリックスキル」育成方法の体系化を行う。 というものであった。「ジェネリックスキル」に関する当初の考え方、すなわち、「ジェネリックスキル」は教育機関で教育することができるものである、という考え方自体が見直されている現在、「ジェネリックスキル」をどのように育成するのか、という研究課題を根本的に整理する必要が生じてきた。また、「ジェネリックスキル」をどのように育成するかという課題とともに、それをどのように評価するのか、という課題も深く関連してくる。「ジェネリックスキル」のマッピングとともにそれをどのように評価するのか、といったことも今後調査に含める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
最近の「ジェネリックスキル」に関する海外の文献を読んでいると、2010年前後に欧州や北米、豪州で叫ばれたこの概念に関して、疑問の声が多く投げかけられているのが判明した。 「ジェネリックスキル」といったようなものは存在せず、それぞれの分野で得る専門知識や技能を分野を越えて応用する能力が必要とされている、といった考え方や、「ジェネリックスキル」は人が経験によって自然に習得するものであり、教育できるものではない、という考え方である。この考え方を尊重して、今後は、「ジェネリックスキル」のマッピングにこだわることなく、どのようにしたら分野横断的な能力を習得する学習環境を構築・提供できるのか、といった視点で研究を進めていきたいと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
「ジェネリックスキル」の概念自体の根本的見直しの議論がなされるようになったため、当初の研究計画を大きく変更する必要が生じたと考えられるため。 「ジェネリックスキル」のさらなる概念整理を行うために、関連する国際会議に参加して議論を深めるために使用する。
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