本研究においては、近年大学教育の分野で議論され始めているジェネリックスキルについて、海外の先進的な大学において、それが学習アウトカムとしてどのように定義され、特に、情報通信技術(ICT)を活用した遠隔教育やブレンデッドラーニングを行う中で、そういったジェネリックスキルの育成が、どのような形でカリキュラムや授業に組込まれており、そのためにどのようなシステムやツールが活用されているのかを調査し、今後、日本の大学や学部においてジェネリックスキルを育成していく方針や戦略・方法を考えるにあたって、参考とできるような資料を作成することにある。近年では、米国において「スキル・ギャップ」といわれているように、大学を卒業するまでに修得されていると考えられる知識や能力と、実際に職場で求められている知識や能力との間に大きなギャップがあることが問題視されている。今回の調査により、これにあたって米国のオバマ政権においてはコンピテンシーに基づく教育(competency-based education)という従来の授業時間による単位認定とは根本的に異なった形の成績評価が行われてきており、そういった教育も連邦政府の奨学金の対象になりえるようになったことが判明した。ジェネリックスキルの養成には、文脈から外れた教室内等での講義やデモによるものではなく、実際の文脈の中でスキルを実践する機会を与えることがより効果的であることも分かっている。それには、学習者が主体的に学習していく姿勢も必要であることが分かった。
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