研究課題/領域番号 |
24501151
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
野村 務 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60287737)
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研究分担者 |
藤倉 輝道 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00238552)
中村 慶春 日本医科大学, 医学部, 講師 (90318519)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 内視鏡外科 / 医学教育 |
研究概要 |
本研究は外科手技、とくに内視鏡外科手技によるearly exposureの有用性を検討するもので、具体的にはvirtual reality (VR)simulatorを用いて医学生に内視鏡外科のトレーニングを行わせ、その後に追跡調査を行い、このトレーニングが進路選択や医師のなるためのモチベーションに影響を与えるか、また医師となってからの手技の向上に影響を及ぼしているかについて検討するものである。追跡調査を行うという意味では最終的な結果を得るまでには時間がかかるが、これまでの成果としては以下が挙げられる。 ①第3学年でトレーニングを行わせた群においてはトレーニングをすすめることによるlearning curveが得られ習熟度が進んだと考えられた。またトレーニング後のアンケートでは外科に対するモチベーションのみならず医学全般に関する意欲の上昇も認められた。 ②VR simulatorでトレーニングを行わせることにより、より実際の手技を反映すると考えられるAR simulatorにおける手技の向上を認めた。 ③2年前にトレーニングを行っている5年生においては他の学生に比較して習熟度が高く、約2年のインターバルにもかかわらず手技の習熟を保持することが可能であると考えられた。 ④ラパコレ胆嚢モデルを用いたトレーニングは実際の胆摘術に近く、学生たちのモチベーションの向上に大いに寄与した。これらの成果を第113回日本外科学会定期学術集会にて発表・報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的は①VR simulatorによるトレーニングが実際の外科手技の向上に役立つのか。②内視鏡外科手技によるearly exposureが進路選択や医師になるためのモチベーションに影響を与えるか。さらに①②の検討を行うことにより③医学生に対する最適な内視鏡外科トレーニングプログラムを確立するということである。 ①に関して:実際の胆嚢摘出術の手技に近い胆嚢モデルを用いたトレーニングの成績やAR simulatorによる評価により、本内視鏡外科トレーニングが実際の外科手技の向上に役立つことが明らかにされた。具体的な結果としては、VR simulatorによる3週間のトレーニンングを行った学生においてAR simulatorのみ12回のトレーニングを行った群と同等の習熟度を認めたこと。また2年間のインターバルによる習熟度の低下は再度のトレーニングですぐに改善されており、さらに以前トレーニングの経験のある学生は経験がない学生に比較すると習熟度が高かったことなどが挙げられる。これらは予想通りの結果であり概ね順調に研究が遂行できていると考えられる。 ②に関して:トレーニング後のアンケートにより外科に対するモチベーションや医学全般に関する意欲の上昇も認められたが、進路選択に対する影響がどうなのかはまだ検討を行えていない。本トレーニングを行った学生たちが後期研修医となって実際に診療科を選択する時点に最終的な検討を行う予定である。 ③に関して:研究初年度である現時点で結論を出すことはまだ困難である。さらに検討を行う必要があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も本年度と同様に研究を継続していく予定であり、計画を修正する必要はないと考える。次年度使用額が生じた理由としては物品として購入する「ラパコレ用胆嚢モデル」の在庫不足となったためであり、これは在庫が入り次第購入する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ラパコレ用胆嚢モデルを前年度購入できなかった分も含め30個購入、また研究成果発表のための学会出張費も申請する予定である。
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