研究課題/領域番号 |
24501151
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
野村 務 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60287737)
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研究分担者 |
藤倉 輝道 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00238552)
中村 慶春 日本医科大学, 医学部, 講師 (90318519)
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キーワード | 内視鏡外科 / 医学生 / シミュレーター / 外科教育 |
研究概要 |
本研究は医学生における内視鏡外科トレーニングの有用性を検討するものであり、具体的にはvirtual reality simulator(VRS)のトレーニングを行わせることにより、どれだけ実際の手技の向上に役立つかaugmented reality simulator(ARS)で評価を行うことや、トレーニング後に追跡調査を行うことにより、このトレーニングが進路決定や医師になるためにモチベーションに影響を与えるか、また医師となってからの手技の向上に影響を与えるか検討を行うものである。追跡調査を行うという点では最終的な結果を得るまでには時間がかかるが、これまでの結果としては以下が挙げられる。 ①VRSトレーニングによりARSでの手技の向上を認めた。実際の手術での手技の向上を評価することの不可能な医学生において、ARSによる評価はその代替えとなり得るということを証明した。②2年前(3年時)にトレーニングを行っている5年生においては、それを行っていない群に比較して明らかに習熟度が高かった。インターバルが開いていてもトレーニングの経験は有用であることが考えられた。③ラパコレ胆嚢モデルを用いた胆嚢摘出術は実際の胆嚢摘出術に近く、ARSを用いた評価に十分に使用できることが証明された。またこれを用いたトレーニングは学生たちのモチベーションに大いに寄与した。 以上の結果を第114回日本外科学会定期学術集会(京都市)にて発表を行い、また中間報告ではあるが欧文論文として執筆、現在投稿前の校正を行っている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的は①VRSによるトレーニングが実際の外科手技の向上に役立つのかを検討。②内視鏡外科手技トレーニングがearly exposureや進路選択や医師になるためのモチベーションに影響を与えるかを検討。③上記①②を行うことにより医学生に対する最適な内視鏡外科トレーニングプログラムを確立することである。 ①に関して:VRSトレーニングが実際の手術手技に近いARSのタスクの手技を向上させることが証明された。手術を行うことができない医学生においてこのような評価法はこれまで報告はない。またこの際に胆嚢モデルによる胆嚢摘出術も評価に用いたが妥当性が確認された。これも今まで報告はない。②に関して:トレーニング後のアンケートにより外科に対するモチベーションや医学全般に対する意欲の上昇が認められた。しかし進路決定に対する影響・とくに内視鏡外科手技の習熟度と進路選択との関連などはまだ検討を行えていない。これは本研究に参加した学生たちが医師となり進路決定する時期が来た段階で検討することを考えている。③に関して:今年度の検討により結果を出すことを考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も今年度と同様に検討を行い、さらに最終年度ということでこれまでの結果を解析して報告を行う。また当初の予定にはなかったが、胆嚢モデルをARSのタスクとしてトレーニングおよび評価を行うことの妥当性に関してのデータをさらに集め検討する。 以上を総合的に検討して医学生に対するカリキュラムとしての内視鏡外科トレーニングプログラムに関する結論を出す予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は学会旅費(国際学会・国内学会)を計上しなかった点、また胆嚢モデルの入荷が遅れて購入に時間がかかった点が次年度使用額が生じた理由である。 次年度は学会出張費用を請求することと、早めに胆嚢モデルの発注を行い適正な予算の使用を行う。
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