研究実績の概要 |
本研究の目的は、英語のリーディング学習法の多読(Extensive Reading; 以下ER)(Krashen, 1984, 2004; Mason & Krashen, 1997)が効果的であることを脳科学的に検証し、新しい効果的学習法や教授法開発へと発展させることであった。そのため、日本人英語学習者を対象に、一定期間ER学習を実施し、その効果を語彙力、読解力、読解速度の向上および光トポグラフィによる脳活性状態の変化を観測した。 本研究における実験では、大石(2006)で分類した4 つの脳活性型(無活性型、過剰活性型、選択的活性型、自動活性型)にもどついて学習者を分類しさらに、学習する実験群と学習しない統制群に分け、語彙力、読解力、読解速度、と脳活性状態を計測した。結果として、学習しなかった群は有意差がなかったが、学習した群は、無活性型、語彙、および内容の理解度テストは向上し、脳活性状態は、選択的活性型あるいは自動活性型に近づいた。選択的活性型は、語彙力、読解力、読解速度は向上し、脳活性状態は自動活性型に近づいた。自動活性型は、語彙力、読解力、脳活性状態には統計的有意差は認められなかったが、読解速度は向上した。アンケートとインタビューデータからも、読みやすくなった、読む速度が上がったように感じるとの意見が得られた。
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