研究課題/領域番号 |
24501156
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
武藤 晃一 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 准教授 (00267535)
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研究分担者 |
内藤 道夫 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 教授 (50135696) [辞退]
堀場 文彰 藤田保健衛生大学, 医療衛生学部, 講師 (20290166) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医療情報教育 / 医療情報技師 / 医療情報システム / IHE / オープンソース / 放射線部門システム / シミュレーター |
研究実績の概要 |
本研究は、医療情報システムの仕組みを理解したうえで医療施設へのシステム導入やシステム改良に取り組むことができる医療情報技師を学士教育にて養成することを目的として、教育用医療情報システム(以下、本システム)を活用した授業のあり方、カリキュラムなど教授法を開発する。 本システムは、オープンソースとして入手できる日医標準レセプトソフトと文部科学省大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム「コメディカル養成のための教育用電子カルテシステムおよびデータベースの構築と実践」にて開発された教育用Web型電子カルテシステム(以下、Web型電子カルテ)をベースとし、部門システムとの連携も体験できるようにWeb型電子カルテの改良も行う。本システムの構築を体験させることを教材とし、その教育効果を検証することが最終の目的となる。 平成24,25年度ではWeb型電子カルテを構築することを体験させるマニュアルの作成とブラッシュアップを行った。研究計画では実際に病院で利用される生理検査部門システム(心電図ファイリングシステム)と医用画像保存システムを導入するか、模擬システムを構築するかを予定していたが、平成26年度にて、模擬システムを医療情報標準を意識して構築し、Web型電子カルテと連携させることを決め、仕様を検討した。 平成27年度では仕様をもとに要求仕様書を作成し、ソフトウェア開発企業へ開発委託を行い成果物を利用した教授法の検討を行う予定であった。しかし、開発請負先の探索に時間を要し、受託企業が見つかった後にも、仕様の技術的要求レベル及び構築システム数と費用との調整に時間を要することとなってしまったため、開発委託契約の締結が年度末近くとなり、開発されたシステムの検収は平成28年度に持ち越されることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27年度では、模擬部門システムは医療情報標準を積極活用するシステムとし、実装にはオープンソース・ソフトウェアによるライブラリやミドルウェアを全面採用する仕様とし、システム開発委託の要求仕様書を作成した。また開発された模擬部門システムはすべてオープンソース・ソフトウェアライセンスにて公開可能とする契約とし、成果物を広く医療情報教育に活用できるよう配慮した。年度内に模擬システムの完成の計画であったが、委託開発の受託先企業の探索に手間取り、受託してくれる企業が見つかった後も、要求仕様の技術レベルおよびシステム構築対象範囲について費用の調整に時間が掛かったことから、委託契約は年度内に完了したものの、成果物の検収は平成28年度に持ち越される状況となってしまった。また、模擬部門システムの構築範囲として臨床検査部門と放射線部門を想定していたが、放射線部門の模擬システムのみ開発対象となった。 模擬部門システムとして、放射線部門のIHEにおける統合プロファイルSWFに登場する2つのアクター、アクイジション・モダリティ(画像検査装置)とDSS/OFのシミュレーターを開発する(以下、MODシミュレータ、OFシミュレータという)。MODシミュレータはWebカメラを搭載したPC上に実装し、DICOM MWMにて患者および検査関連情報を取得した後に、撮影した画像をCTやMRI等のモダリティとしてPACSにDICOM画像保存する機能を有する仕様とした。OFシミュレータはHL7 ver.2.5の放射線画像検査オーダ(OMG)メッセージファイルから患者および検査情報を取得し、DICOM MWMのSCPとして動作して、MODシミュレータにワークリスト情報を伝達する機能を有する仕様とした。 当初予定では放射線部門の模擬システムが完成しWeb型電子カルテとの機能連携や教授法の検討が進んでいる予定であったが実現できていない。よって現在までの達成度としては遅れていると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度では、放射線部門の模擬システムとして委託開発したMODシミュレータ、OFシミュレータとWeb型電子カルテシステムの連携手法を検討し、システム全体として教材利用するためのマニュアル作成や教授法を検討する。MODシミュレータ、OFシミュレータには、厚生労働省がわが国で用いるべき医療情報標準とした、いわゆる厚生労働省標準に該当するDICOM、HL7 v2.5、IHE PDI(Portable Data for Imaging)、SS-MIX2標準化ストレージの規格を利用しており、これら医療情報標準の重要性および利用法に関する教材ともなるよう検討する。さらに、開発にはオープンソース・ソフトウェアのライブラリやミドルウェアを利用しているため、オープンソースを活用した開発手法に関する教材の側面も強調したいと考えている。 本研究にて利用・開発した教育用医療情報システムを構成するソフトウェアについては、すべてオープンソース・ソフトウェアとして公開を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度では、医療情報教育のための模擬部門システムを医療情報標準およびオープンソース・ソフトウェアを活用して構築するよう研究計画を変更しており、要求仕様を作成してソフトウェア開発企業にて委託開発する予定であった。しかし、請負先企業を見つけることに時間がかかり、さらに要求仕様に対する技術的困難さと費用の調整に時間が掛かってしまったため、委託契約締結が年度末近くにずれ込んでしまった。結果として、委託開発契約は平成27年度中に締結できたものの、成果物に対する支払いは納品・検収後となったため、委託開発費1,373,000円の支出が平成28年度に繰り越されることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
要求仕様書に基づき、医療情報専門職養成のための教育用医療情報システムの委託開発を契約済みである。委託開発するシステムは放射線部門システムをターゲットとして、模擬モダリティ(モダリティ・シミュレーター)および模擬RIS(Radiology Information System; 放射線部門情報システム)である。模擬RISはIHEの放射線部門の統合プロファイルであるSWF(Scheduled Workflow)のアクターであるDSS/OF(Department System Scheduler/Order Filler)のうち、DICOM MWM(Modality Work-list Management)に対応する機能を実装したものである。システムはすべてオープンソース・ソフトウェアのライブラリやミドルウェアで開発し、実装にあたりコーディングされたソースコードもすべてオープンソース・ソフトウェアとして公開可能とする契約をしている。 今回生じた次年度使用額については、この委託開発費に使用する。
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