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2012 年度 実施状況報告書

視覚障碍者の科学学習における事象のイメージ創成支援に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24501163
研究種目

基盤研究(C)

研究機関広島工業大学

研究代表者

鈴木 貴  広島工業大学, 工学部, 准教授 (40289260)

研究分担者 荒木 智行  広島工業大学, 工学部, 准教授 (20257413)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード力覚デバイス / 視覚障害者 / 科学学習支援 / 理科教育支援 / 数学教育支援
研究概要

本研究の課題「視覚障碍者の科学学習における事象のイメージ創成支援に関する研究」の主題は,力覚デバイスと呼ばれる装置を用いて,視覚の代わりに触覚によってコンピュータ内部に実現した3次元仮想空間と仮想事象を視覚障碍学生にリアルに体験させるというものである。
本年度は,その第1段階として,コンピューター内部に構築する仮想現実はどのような方法で構築できるのかについて研究した。ここでは,仮想現実を長年研究している研究者に抗議をしてもらった。次に,具体的に数学と物理学に関連するいくつかの簡単な仮想事象を実現する触知モデルのプログラムを作成した。作成した事象のモデルは,球面の触知モデル,2次関数の触知モデル,放物運動の触知モデルである。これらの触知モデルを視覚障害学生に効果的に触知させるためのシステムの機能を検討し,上記のモデルにおいて実現させた。
さらに,これらの触知モデルを,実際に視覚障害をもつ大学生たちに参加してもらい実験した。実験の的は,まず力覚デバイスの動作を確認し,視覚障害学生にとって使いやすいものであるのかを確かめること,次に,上記の触知モデルに組み込んだ機能が科学学習において効果的であるのかなど,今後の開発の指針となる改善点を見つけることであった。この実験を通していくつかの問題点を次年次以降の課題として発見した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究は概ね順調に進行している。今年度は,若干ではあるが予定以上に研究を進歩させることができた。空間をコンピュータ内部にモデル化する人工現実の技術としての,距離場空間モデル(DFM)とそのためのソフトウェアであるOpenGLを,その専門家に講義してもらうことができたために,予定よりも早く実際のプログラム開発に着手できたためである。さらに,プログラム開発においても,開発言語であるC++に熟達している者をパートタイム職員として雇用でき,平成24年度の予定であった数学モデルの構築だけでなく,平成25年度の目的であった動的モデルの構築にも研究を進めることができた。

今後の研究の推進方策

コンピュータ内部に仮想現実を構築するソフトウェアであるOpenGLと力覚デバイスを制御するソフトウェアであるOpenHapticの使用法については本年度の研究で基本的な事項は習得することができた。しかし,作成した触知モデルを実際に視覚障害学生に使用して評価してもらった結果,いくつかの問題点を指摘され,改善点を見つけることができた。今後は,指摘された問題点を改良し,視覚障害学生が科学および数学を効果的に習得できるよりよいシステムに機能拡張していくことを目指す。それとともに,本年度に作成した球面の触知モデル,2次関数の触知モデルと放物運動の触知モデルに加えて,数多くの触知モデルを作成していくことを計画している。機能拡張を行うためには,力覚デバイスのさまざまな機能を活用するだけでなく,別売の付属部品などを購入しなければならないと考えている。とくに,現在使用している力覚デバイスでは,スタイラスと呼ばれるペン状のパーツの先端で仮想事象をなぞったり突いたりして知覚しているが,触知モデルのタイプによってはスタイラスで認識しづらいものがあることが実験によって明らかになった。この問題点を克服するために,スタイラスの代わりに,指先にはめて触知するパーツを用いて試みたい。
本年度に行った実験では3名の視覚障害をもつ大学生に参加協力してもらったが,さらに多くの視覚障害者に本システムを試してもらい,さまざまな意見をもらうことは不可欠である。平成25年度では,大学の学生だけでなく,高校生や中学生にも実験に参加してもらうことを予定している。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は,Londonで開催される国際学会(SMC2013)に参加し,研究発表と意見交換をする予定である。この学会への参加費と旅費として,研究代表者と共同研究者を合わせて600,000円を計画している。また,より多くの視覚障害学生に本システムを体験してもらい,さまざまな問題点を明らかにするために,視覚に障害をもつ中学生や高校生が集まる「科学へジャンプ」という催しに参加し,多くの子どもたちに本システムを体験してもらうことを計画している。このための経費として,150,000円を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 視覚障碍者を支援する力覚デバイスを用いた科学学習システム

    • 著者名/発表者名
      鈴木貴,荒木智行,河合克浩
    • 学会等名
      2013年 電子情報通信学会 総合大会
    • 発表場所
      岐阜大学

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公開日: 2014-07-24  

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