研究課題/領域番号 |
24501165
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
星野 浩司 九州産業大学, 芸術学部, 准教授 (60552205)
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キーワード | ミュージアム / コンテンツ・アーカイブ / バーチャル・リアリティ / 情報システム / 電子デバイス・機器 / 複合現実感 / デジタルサイネージ |
研究概要 |
本研究は、水族館という水生生物を生きた資料として扱う科学系博物館を基盤とし、子供たちが積極的に学習できるエデュテインメント志向の透過型液晶モニタ(以下、透過型LCD)を用いた体験型学習支援システムを設計・開発するものである。平成25年度は、前年度に行った国内外の先進的施設や関連研究の調査によって得られたそれら事例の問題点や課題点の抽出と分析結果を基礎に機器の設計と開発を行っている。具体的には、設置施設の水槽を計測し、実験段階の機器を組み込むための外装について、操作性や安全性等を想定した基礎設計を行っている。また、設置環境を想定し、透過液晶が輝度がどの段階で視認性が上がるのかを計測するために、輝度計(コニカミノルタLS-110)を用いた計測実験を実施した。さらに、機器上で稼働するシステムについても、開発段階で操作が可能にするための予備設置のための装置についても開発を行った。これらの予備実験を基礎データとして次年度へ向けた研究実験資料の構築を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画である平成24年度「国内外の先進事例の調査と分析、資料収集」として、国内外の先進事例について調査・研究を行うため、(フランス)ルーブル美術館/ルーブル・ランス美術館/ポンピドゥー・センター、(石川県)金沢21世紀美術館、(沖縄)美ら海水族館へ訪問している。特に、(フランス)ルーブル・ランス美術館は(石川県)金沢21世紀美術館と同じ設計者によって2012年12月に開館している。本施設では、これまで、国内の印刷大手企業である大日本印刷と共同で研究してきた先進的展示支援システムをはじめ、実験的とも言える新たな展示手法を駆使した美術館として、これからの国内外に向けた展示支援システムの大変貴重な基礎資料を収集することが出来た。また、これら貴重なデータを詳細に分析することで、次年度の機器開発に向けた基本設計における質の高い基礎データとしている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、前年度の関連施設における調査・研究による分析データを基礎としたシステムの基本設計をもとに、実験機器の開発を行っている。また、表示画面の透過液晶の視認性について、水族館という特殊な環境での実装となるため、稼働環境の照度測定とそれらの基礎データを手がかりに、透過スクリーンの照度測定と輝度計測による見え方の実験を行っている。また、当初予定のICカードによる来館者用のデバイス装着に関しては、本体開発の完成を待って、次年度にて装備の予定である。平成26年度は、海の中道マリンワールドにて実装実験を行い、来館者の操作実験と操作ログによるルート提案のための基礎データ取得を行う予定である。また、実験で得たデータを元に機器の評価データ分析を行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、機器の開発とシステム開発に重きを置いていたため、当初予定のICカード実装は機器の完成度を検討し、次年度の26年度にて装着するよう予定を変更している。そのため、ICカードによるカードの実装費とそれに関連する開発人件費や機器費用について当初予定の金額を次年度に繰り越している。また、研究過程において稼働システムが経年によるOSテクノロジーの変化でWindowsOS環境ではなく、スマートフォンやタブレットPCにて使用されるAndroidOS環境で稼働するシステムが操作性や機能性で優れていることから設計を変更している。 平成26年度は、Android環境構築のための機器やICカード実装のためのICカードリーダーやソフトウェア、開発機器導入のための人件費に費用を使用する。
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